宮崎県議会 > 2022-11-29 >
11月29日-05号

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  1. 宮崎県議会 2022-11-29
    11月29日-05号


    取得元: 宮崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-20
    令和4年11月定例会令和4年11月29日(火曜日)   午前10時0分開議 ───────────────────  出 席 議 員(36名)    2番  坂 本 康 郎  (公明党宮崎県議団)    3番  来 住 一 人  (日本共産党宮崎県議会議員団)    4番  山 内 佳菜子  (県民連合宮崎)    5番  武 田 浩 一  (宮崎県議会自由民主党)    6番  山 下   寿  (  同  )    7番  窪 薗 辰 也  (  同  )    8番  佐 藤 雅 洋  (  同  )    9番  安 田 厚 生  (  同  )   10番  日 髙 利 夫  (  同  )   11番  川 添   博  (  同  )   13番  中 野 一 則  (  同  )   14番  図 師 博 規  (無所属の会 チームひむか)   15番  有 岡 浩 一  (郷中の会)   16番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)   17番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   18番  岩 切 達 哉  (県民連合宮崎)   19番  井 本 英 雄  (宮崎県議会自由民主党)   20番  徳 重 忠 夫  (  同  )   21番  外 山   衛  (  同  )   22番  山 下 博 三  (  同  )   23番  濵 砂   守  (  同  )   24番  西 村   賢  (  同  )   25番  右 松 隆 央  (  同  )   26番  日 高 博 之  (  同  )   27番  井 上 紀代子  (県民の声)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   30番  満 行 潤 一  (  同  )   31番  太 田 清 海  (  同  )   32番  坂 口 博 美  (宮崎県議会自由民主党)   33番  日 髙 陽 一  (  同  )   34番  横 田 照 夫  (  同  )   35番  野 﨑 幸 士  (  同  )   36番  星 原   透  (  同  )   37番  蓬 原 正 三  (  同  )   38番  丸 山 裕次郎  (  同  )   39番  二 見 康 之  (  同  )  欠 席 議 員(1名)   28番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事   河 野 俊 嗣  副  知  事   日 隈 俊 郎  副  知  事   永 山 寛 理  総合政策 部長   松 浦 直 康  政 策 調整監   吉 村 達 也  総 務 部 長   渡 辺 善 敬  危機管理統括監   横 山 直 樹  福祉保健 部長   重黒木   清  環境森林 部長   河 野 譲 二  商工観光労働部長  横 山 浩 文  農政水産 部長   久 保 昌 広  県土整備 部長   西 田 員 敏  会 計 管理者   矢 野 慶 子  企 業 局 長   井 手 義 哉  病 院 局 長   吉 村 久 人  財 政 課 長   高 妻 克 明  教  育  長   黒 木 淳一郎  警 察 本部長   山 本 将 之  監査事務 局長   髙 山 智 弘  人事委員会事務局長 日 高 幹 夫 ─────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   渡久山 武 志  事 務 局次長   坂 元 修 一  議 事 課 長   鬼 川 真 治  政策調査 課長   伊 豆 雅 広  議事課長 補佐   関 谷 幸 二  議事担当 主幹   佐 藤 亮 子  議 事 課主査   川 野 有里子  議 事 課主査   内 田 祥 太  議事課主任主事   山 本   聡──────────────────── △一般質問 ○副議長(二見康之) これより本日の会議を開きます。 本日の日程は、昨日に引き続き一般質問であります。 ただいまから一般質問に入ります。まず、坂口博美議員。 ◆(坂口博美議員) 〔登壇〕(拍手) おはようございます。一般質問を行います。 4年目を迎えようとするコロナ禍は、今なお先行きが見通せない中にあります。さらに、現在の感染者数を見ると、既に第8波と言える状況にある上、専門家からは、年末にかけてインフルエンザの流行と同時に急拡大するのではとの予測すら出ております。 そのような状況の中にあって、県は、これまでのようなアクセルとブレーキを使い分ける経済対策を見直し、経済は止めることなく回し続けるとする考え方へと、その方針を大きく転換させました。これは、常在コロナの中にあって、積極的に経済を推し進めていくとする知事の政治判断に基づくものであり、当然、知事にはその責任が大きく伴うこととなります。 そしてまた、県民側には、県がコロナ対策における対処方針を転換することにより、私どもの日々の暮らしに係るこれまでの生き方において、新たな方針に沿うべく、幾つもの見直しを余儀なくされる事態につながる、重大な節目になると思います。 つまり、これまでの生き方を大きく変化させ、かつて経験したことのない生活の在り方が求められているという、切実・重大な分岐点に私たちは今、ぶち当たっているのであります。 そのような考えに立つとき、県がこれまで度々使ってきた「新しい生活様式」なる表現は、この節目を通過した後に県民が行き着くこととなる新しい暮らしの在り方のことを示しておられたのだと、県に倣い、熟慮することもなくこの言葉を使ってきた私でありますが、遅ればせながら、ここに至って初めて、そう気づかされたのであります。 そして同時に、私は知事に対して、「新しい生活様式」へと向かう県民のリーダーとして、海図に水路なく、地図に道路なき前人未到の目的地へと県民を導かなくてはならないという、言うならば、県民総勢による大規模冒険隊の長たる立場にあるんだとの覚悟をお持ちか否かを、しっかりと確認せねばならないと思うに至ったのであります。 ところで、冒険と言えば、皆さん御存じのとおり、世界を代表する冒険家の一人に、五大陸全ての最高峰の登頂に世界で初めて成功するという偉業を成し遂げた日本人、植村直己さんがおられます。植村さんは、彼の満43歳の誕生日である1984年2月12日に、北アメリカ大陸の最高峰であり、以前はマッキンリーと呼ばれていた山でありますが、2015年8月30日に、当時のアメリカ合衆国大統領バラク・オバマ氏が、大統領としてのアラスカ訪問に先駆け、アラスカ先住民と植村さんの偉業への敬意を込めて、先住民の言葉で高いもの、偉いものを意味する「デナリ」へと名前を変更したことを発表しております。植村さんは、このデナリ登頂に成功したのであります。 しかしながら、残念この上ないことでありますが、登頂に成功した翌日、13日の下山途中に消息を絶ったのであります。その植村さんが残された言葉の中に、「出発するとすぐ、帰ることばかり考えるんですよね。毎日先に進みながら、いかにして先に進むかじゃなくて、いかにして引き返すかっていうことばかり考えてるんです。それがある一定のところまで進むと、もう引き返しのきかない状況まで来るわけです。そこで初めて、先に進むことだけしか考えなくなるんです」というのがあります。 そしてまた同様に、世界の大陸の最高峰全ての登頂に女性として世界で初めて成功した田部井淳子さんは、エベレスト登頂に成功した際に、「本当にしんどくて、でもいつかこの一歩は終わると信じて、ただ前に進み続けた」として、「足を引きずりながらの一歩一歩でも、歩き続ければ必ず頂上に登り着く」と言い残されております。 さて、冒頭に申し上げましたように、これから向かうこととなる「新しい生活様式」でありますが、誰もがこれから初めて経験することになる生き方であり、言わば、まさしく冒険そのものであります。私どもの向かう先は、エベレストなのか、デナリなのか。これから知事に導かれることとなる「新しい生活様式」では、どのような暮らしが待っているのか、県民総じて大変気がかりなのであります。 知事の考えておられる「新しい生活様式」による暮らしとは、具体的にどのようなものなのか。そしてまた、知事が常々口にされるように、県民の誰をも取り残すことなく、そこへ導くのだとの強い覚悟を持たれての4期目への挑戦であるのか伺い、壇上からの質問といたします。 以下、質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。お答えします。 コロナ発生当初におきましては、未知のウイルスから県民の命と健康を守るため、3密の回避をはじめ、ビジネスや教育のリモート化など、生活の様々な場面で人と人との身体的距離を取ることを要請してまいりました。 その後、ワクチン接種の進展やウイルスに関する知見の蓄積も進んだことなどから、現在は、基本的な感染対策を継続しながら、社会経済の歩みを止めない政策に軸足を置いているところであります。コロナ前の生活に完全に戻ることは難しいものと認識しております。 特に、デジタル技術の普及は、コロナへの対応だけでなく、人口減少対策などの側面からも、今後ますます進んでいくものと想定されます。県民の仕事や暮らしも、デジタルが十分活用できるものへと変化させていかなければならないと考えております。 その一方で、私たちには変えてはならないもの、守らなければならないものがあります。それは、人と人とのつながりや他者に対する思いやり、心身の健康をはじめとする県民の暮らしの安心であります。 新しいライフスタイルへの転換には、様々な課題が生じるものと認識しておりますが、私は知事として、誰一人取り残さないという強い覚悟を持って、県民の皆様の不安を払拭し、幸せを実感できる県づくりに全身全霊で取り組んでまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(坂口博美議員) では、引き続いて知事に伺います。 県は先月、令和5年度当初予算の編成方針を公表し、来年度当初予算については、年末に知事選が行われることから、骨格予算として編成し、6月補正で肉づけを行うとしております。 また同時に、令和5年度の施策の構築に当たっての視点も公表し、1、コロナ禍物価高騰等からの再生・復興、2、中山間地域の暮らしの維持・活性化、3、経済・産業の促進、4、次世代育成、若者・女性活躍の推進、5、安全・安心な県土づくりの推進、これら5つの視点を示しております。 いずれも重要な視点ではありますが、コロナの収束がいまだ見えず、第8波に突入する中、来年度は、これまでのウイズコロナに加えて、これから向かうとされる「新たな生活様式」への対応が求められることになります。 県では、これまでも同様な施策を講じてきており、コロナへの対応も4年目を迎えることになりますが、5つの視点に基づき、新たにどのような事業の構築が必要になると考えておられるのか伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 今回の視点につきましては、喫緊の課題であります新型コロナ対策物価高騰対策など、県民生活や地域経済の着実な再生とともに、人口減少、国土強靱化をはじめとする本県の諸課題への対応、さらには、将来を見据えた新たな成長活力の創出を図ることを目的に整理したところであります。 コロナへの対応としましては、まず、公共交通の利用促進や小規模事業者の新事業支援をはじめ、子ども食堂等生活困窮世帯への支援、相談体制の強化等による自殺予防対策など、暮らしや産業の下支えを行いつつ、インバウンド需要の回復を見据えた誘客強化など、経済の活性化にも取り組む必要があると考えております。 また、新型コロナの再拡大や新たな感染症への備えとして、医師や看護師の確保をはじめとする医療提供体制の強化に引き続き対応していくほか、デジタルガバメントの推進や県内企業のデジタル実装支援、IT人材の育成など、デジタル社会に向けた対応を強化することも重要であります。 今後、社会経済の早期回復を図るとともに、デジタルを活用した感染症にも強い社会を築いていけるよう、効果的な事業構築に努めてまいります。 ◆(坂口博美議員) 限られた財源、大変多様なニーズ、ぜひ効率的・効果的な事業展開を期待しております。 ところで、私は先日眼科を受診した際に、医療スタッフから、高齢者の白内障患者や子供の患者が増えているという話を伺いました。これは、コロナ禍においてデジタル化が急速に進んだことにより、スマートフォンタブレットを利用する高齢者や学生たちの間において、タブレットなどの活用頻度が増加していることが目の酷使につながり、眼科の患者が増える要因になっているのではなかろうかと考えます。 また、これにとどまらず、長期にわたる感染に対する不安や、直接会って話す機会の減少による人間関係の希薄化等により、様々なストレスが心理面に影響し、心の病にかかる人が増加しているのではないかとも懸念しております。 そして、さらに、社会や人々の生活様式が急激に変化したために、これまでとは異なる傾向の新たな病気が増えてくる可能性もありはしないかとの危惧すらも有しております。 しかしながら、「新たな生活様式」がいかなるものであっても、相談したいときに適切な相談が受けられたり、病気にかかったときに最適の治療を受けることができるような、まさしく誰一人として取り残されない社会、これを構築し、維持していかなければなりません。 コロナ禍により、社会や生活様式が大きく変わる中で、医療や福祉の需要の変化をどのように認識し、今後どのような対応をしていかれるのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 新型コロナが長期化する中で、高齢者等の外出機会の減少等により、「つまずきやすくなった」「階段の上り下りがつらい」など、転倒や骨折の要因となる運動機能の低下が指摘されております。 また、高齢者以外も広く、スマートフォンの利用やリモートワークの増加による視力への影響も生じております。さらに、健康や経済、人間関係等の不安や悩みを抱えた方や、対面での活動が制限されたことにより、つらい気持ちを周りに伝える機会を失っている方などの増加も懸念されております。 このような中、県のひきこもり地域支援センターの対応件数や自殺予防の夜間相談電話も増加傾向にあります。 県といたしましては、このような医療や福祉の需要の変化に対応できるよう、新たな視点を加えながら、引き続き、医師会や大学など関係機関と連携の下、県民の皆様の健康や命を守る取組を進めてまいります。 ◆(坂口博美議員) ところで、学校では「新しい生活様式」への転換を余儀なくされ、合唱や運動などの教育活動が制限されたり、行事等も中止や短縮されたりしております。 また、子供たちの生活の中でのデジタル化も大きく進み、コロナによる在宅期間においても、タブレットを活用した学習が進むとともに、遊びの場でもタブレットスマートフォンを手放さない子供たちが多くいるとも聞き及びます。 そのような話を聞くと、コロナ禍における制限された生活やデジタル化は、少なからず子供たちの健康に影響があるのではないかと感じております。 生活様式が変わったことによる子供たちへの様々な影響について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 新型コロナの拡大に伴う「新しい生活様式」への転換によりまして、子供たち生活様式も大きく変容し、様々な影響が懸念されております。 文部科学省が毎年実施する調査では、新型コロナの影響によりまして、生活環境の変化による生活リズムの乱れ等が、不登校児童生徒数の増加の一因であると報告されております。 また、文部科学省発行のガイドブックには、新型コロナの影響に伴い、屋外で遊ぶ時間が減り、デジタル端末の視聴時間が長くなることで、視力低下や近視の増加に拍車がかかるおそれがあるとの専門家のコメントが記載されております。 県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会と連携しながら、子供たちの心と身体の健康につながる教育や指導の在り方について、一層研究を深めてまいります。 ◆(坂口博美議員) 今、福祉保健部長や教育長の答弁にもありましたように、「新しい生活様式」を進めれば、光だけではなく、それに伴う影もまた生じることになります。つまり、行政が果たすべき新たな事務の出現であります。知事はこの部分に関しては、いまだその姿を示されていないのでありますが、いずれにせよ、新たに出現する行政ニーズに万全を期すべきは当然であります。 しかしながら、県の新年度予算編成に際しての5つの指針には、これらの考え方は見当たらず、これへの対応の在り方を懸念するところであります。私は、このように時代の変化に伴い生じる新しい行政需要への対応については、指針の6本目の柱として示されるべきではないかと考えます。 今のお二人の答弁からも推しはかれますように、知事が導く生活様式の変容やデジタル化の進展などにより、新たに生じ、そしてそれがいかなるものか、おいそれと予測できないような大きな課題に対して、どのように対応していかれるのか、知事の考えを伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 重要な御指摘と受け止めております。 コロナ禍において、感染防止対策の実践やデジタル技術の進展によりまして、テレワークをはじめとする新しい働き方やキャッシュレス決済の普及など、この数年で私たちの生活は大きく変化してきております。本県におきましても、産業のデジタル化や人材育成など、これらの社会変化に対応するための様々な対策を講じてまいりました。 一方で、御指摘のような、特に子供たちの心や身体への影響について大変心配しているところでありますし、医療需要の変化、さらにはデジタル格差や孤独・孤立の問題などが顕在化しております。それらの課題にもしっかり目配りをしていくことは、今後の県づくりにおいても大変重要な視点であると考えております。次期アクションプランにも反映させたいと考えております。 このような認識の下、来年度の事業構築におきましても、今回の5つの視点に加え、誰一人取り残さないための取組について、様々な状況を想定しながら対応してまいります。 ◆(坂口博美議員) 続けて知事に伺います。 政府が今臨時国会に事業規模約72兆円の総合経済対策予算を提出しておりますが、国の動きに合わせ、県としても早期に対応するべきだと考えます。 今回の国の総合経済対策を受け、県は予算にどのように反映させていくのか、また令和5年度当初予算とどのように連動させていくのか、お伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 今回の国の総合経済対策のうち、防災・減災、国土強靱化食料安全保障TPP等対策などに関する公共事業につきましては、経済対策と発注時期の平準化の観点から、今議会に約285億円を追加提案し、いち早く対応することとしました。 また、今回は予算化が難しいものの、国の総合経済対策に基づく必要な事業については、今後、詳細な内容を確認し、速やかに対応してまいります。 さらに、本県の令和5年度当初予算は骨格予算とするものでありますが、編成方針に掲げた5つの視点には、コロナ禍、物価高騰からの再生・復興や、経済・産業成長の促進などに、国の総合経済対策と方向性が同じものが多く含まれております。 このため、国の動きと連動し、来年度も活用できる補正予算を編成するとともに、次の任期を私が担うこととなりましたら、当初予算においても相乗効果が発揮できる事業を構築し、切れ目なく対応してまいります。 ◆(坂口博美議員) コロナが長期化する中、国はこれまで、コロナ対策経済対策を次々に打ち出してきております。 円安や物価高騰の先行きも不透明であり、国全体が停滞する中、積極的な財政出動は必要ではありますが、一方で、その財源のほとんどを赤字国債に依存しており、将来を考えると、財政の健全化という点では懸念があります。 そのような中、報道によれば、岸田首相は昨28日、防衛費を今後5年で増額し、2027年度には安全保障関連費を含めて、現在の対GDP比2%に達するよう予算措置を講ずるよう指示したとのことであります。それからして、これから先は、国の財政運営が地方財政に大きな影響を及ぼすおそれは否定できません。 国が大変厳しい財政状況にある中、本県では、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会の両大会を合わせて、最大で688億円程度の開催経費が見込まれております。さらに、公共施設等総合管理計画に基づく各施設の老朽化対策と、今後、多額の財政負担が見込まれております。 今後の公共施設等老朽化対策に必要な経費をどのように見込んでいるのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 県有の公共施設等につきましては、5,000棟を超える建物系施設と、道路や橋梁など30類型のインフラ施設がございます。 その老朽化対策に必要な経費は、平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画の中で、一旦概算で試算をいたしましたが、その後、建築物を構成する部材やその劣化状況の詳細調査をした上で、将来の保全計画や他の施設との集約等の1次評価を総務部が行い、さらに、施設ごとの個別状況を踏まえた2次評価を担当部局と協議しながら進め、昨年度に計画改定をしたところであります。 その結果、今後50年間で必要となる経費は、建物系施設インフラ施設を合わせて、約1兆4,700億円を見込んでおります。 ◆(坂口博美議員) 今答弁にありましたように、国民スポーツ大会の開催と公共施設の老朽化対策のいずれも、多額の経費が見込まれております。 そうなりますと、計画的な予算措置が必要になる上、これらのハード整備に多額の県債発行を要し、今後、残高も増加していくことになります。 さらに本県には、人口減少対策や産業・物流対策、中山間地域の振興、医療福祉の充実などの諸課題への対応に加え、高速道路など社会基盤の整備にも、これまでに引き続き、合わせて取り組んでいく必要があります。 こうした様々な財政需要がある中、将来にわたって本県の財政の健全性に問題はないのか、知事に伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 御指摘のとおり、本県の財政需要は、今後ますます増加すると見込まれており、また、危機事象への緊急的な対応、そして何より、人口減少等の本県の諸課題に適切に対応していくためには、財政の健全性を維持していくことが大変重要であると考えております。 そのため県では、中長期的な財政見通しを作成し、将来を見据えた計画的な予算計上を行っております。現段階で見込まれる財政需要に対しては、財政関係2基金の残高を一定水準確保するとともに、県債残高の抑制にも努めているところであります。 その上で、国庫補助金や有利な地方債の活用などにより、実質的な負担を軽減するとともに、毎年度の財政支出を平準化するため、特定目的基金を設置・活用しているところであります。 今後とも、物価高騰などへの臨機の対応や将来の財政需要の増大にしっかり対応できるよう、財政の健全性を維持し、積極的かつ的確な財政運営を行ってまいります。 ◆(坂口博美議員) 次に、国土強靱化に関して伺います。 9月に本県を襲った台風第14号は、県内に甚大な被害をもたらした平成17年の台風第14号と同規模と言われており、長時間にわたる記録的な豪雨により、各地に土砂災害や浸水被害をもたらし、3名もの貴い命が奪われました。改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。 さて、今回の台風第14号による被害額は、全体で700億円を超える大規模なもので、そのうち公共土木施設の被害は、県・市町村合わせて、件数が約1,400件、被害額が約400億円となっており、私は改めて国土強靱化の取組の重要性を認識したところであります。 まず、国土強靱化に係る水防災に関し、県土整備部長に数点伺います。 国土強靱化対策については、平成30年度から令和2年度までの3か年緊急対策を経て、現在、令和3年度から令和7年度までの5か年加速化対策が実施されております。 これまで、本県でも多くの予算を確保し、対策を講じてきておりますが、今回の台風第14号の被害等も踏まえ、国土強靱化における治水対策の取組の評価について伺います。
    ◎県土整備部長(西田員敏君) 県では、県民の安全・安心な暮らしを守るため、河川においては、平成30年度から約230億円の国土強靱化対策の予算を活用し、河川掘削や堤防の整備等の治水対策に重点的に取り組んできたところであります。 平成17年の台風第14号では、県北の山沿いで総雨量が1,000ミリを超え、五ヶ瀬川水系と耳川水系で約1,800棟の住家の浸水被害が発生しました。今回の台風第14号でも、県北の山沿いの総雨量は同程度であったものの、同水系の浸水被害は約700棟に軽減されており、これまでの整備に加え、国土強靱化の取組による一定の効果があったものと考えております。 一方で、河川改修が未整備の区間などでの浸水被害や内水による被害が発生しており、さらなる整備が必要な状況にありますことから、今後とも国土強靱化予算の確保に努め、治水対策にしっかりと組んでまいります。 ◆(坂口博美議員) 平成17年災に比べると、浸水被害、約半分ですね。だから、ぜひ今後とも頑張っていただきたいと思います。 このように、浸水家屋数の軽減など、一定の効果があったとのことでもありますが、今回の被害状況を見ると、まだまだ安全にも安心にも程遠く、国土強靱化対策の継続的な取組の必要性を痛感しております。激甚化、頻発化する水害への対策として、令和2年度に流域治水という取組が国から示されております。 当然ながら、県ではこれまでも地域の実情に合った治水対策を進めてきていると考えますが、流域治水の考え方と今後の取組について伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 流域治水とは、気候変動の影響による水害の激甚化、頻発化を踏まえ、堤防整備などの対策をさらに加速するとともに、流域に関わる国や市町村、地域住民などのあらゆる関係者が協働し、ハード・ソフト一体となった水災害対策を行うものであります。 年内に県内58水系全てで、関係者が行う対策を取りまとめた流域治水プロジェクトを策定し、河川の掘削や堤防補強などを行うほか、貯水機能を確保するためのダムの事前放流や農業用ため池の活用、保水機能を確保するための森林整備を実施しているところであります。 また、住民の避難を促すためのソフト対策として、浸水想定区域図を作成する対象河川を拡大し、きめ細かな情報提供を行うこととしております。 今後とも、関係者と連携を図りながら、治水対策のさらなる強化に取り組んでまいります。 ◆(坂口博美議員) 今、流域治水プロジェクトとして、ダムの事前放流の取組も行っているとのことでありました。事前放流は、ダムの利水容量の一部を洪水前に放流し、水位を下げておくことで、ダムの貯水機能を強化するものであり、令和2年度から全国一律で取組が始まっております。 これについては、本県においても取り組んでおりますが、今回の台風第14号において、事前放流を行ったダムは県内に、管理者別に幾つあるのか伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 県内には、1級水系と2級水系合わせて46のダムがあります。そのうち、今回の台風第14号では、ゲート放流などで水位を低下させることができる30ダムで、事前放流を実施しております。 その管理者ごとの内訳は、県管理が7ダム、県企業局管理が2ダム、九州電力管理が15ダム、土地改良区などが管理する6ダムであります。 ◆(坂口博美議員) 30のダムで事前放流を実施したとのことでありました。ダムの規模に応じ、洪水調節に利用可能な容量にも大小があると思います。規模の大きな一ツ瀬ダムには余裕があるように思える一方で、中小規模のダムである杉安ダムは、事前放流の効果があるのか疑問であります。 そこで、今回の台風における両ダムの放流状況についてお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 九州電力の報告によりますと、一ツ瀬ダム及び杉安ダムでは、治水協定に基づき、両ダムとも台風第14号に備え、9月15日14時頃に事前放流を開始しております。 一ツ瀬ダムでは、事前放流完了後、降雨によりダムへの流入量が増えたものの、流入量より少ない放流の状態を維持し、18日の21時頃に最大流入量に到達しております。その後、ダムへの流入量が低下し、23時頃には放流量と同量の流入量となり、ダムでの事前放流の効果が見られたところです。 また、下流にある杉安ダムでは、事前放流完了時には、既に流入量と同量の放流量となっており、最大流入量には、18日の23時頃に到達しております。 ◆(坂口博美議員) 今回の台風では、一ツ瀬ダムが最大の放流状態のときには、小規模な杉安ダムは既に流入量と同量を放流する状態であったということであります。 この結果を見ますと、中小ダムである杉安ダムは、事前放流の効果を生かせたとは言い難いと考えます。 ところで、一ツ瀬ダムと同一水系の三財川には、治水と利水の機能を持つ多目的ダムである立花ダムがありますが、立花ダムの放流状況についてはどうであったのか伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 県が管理する多目的ダムである立花ダムでは、治水協定に基づき、9月15日の20時頃に事前放流を開始したところであります。 その後、台風に伴う降雨によりダムへの流入量が増えたことから、9月18日の12時頃から洪水調節を開始したところです。 しかしながら、20時頃に最大流入量に達し、その後も降雨が継続したため、ダムの水位が上昇し、ダム本体に危険を及ぼすおそれがあると判断したことから、流入量と同量を放流する、いわゆる緊急放流を、23時頃から翌朝の6時まで実施したところです。 ◆(坂口博美議員) 立花ダムでは、緊急放流に至ったとのことでありました。緊急放流に至る間において、最大流入量に達した時点では、まだしっかり洪水調整しているということもうかがえます。 しかし、最終的には貯水することができなくなり、ダム本体を守るために緊急放流せざるを得なくなったとのことでありました。 今回の台風では、県内の多くのダムで事前放流を行ったと思いますが、成果があった一方で、事前放流の課題も残したのではないかと考えます。 県内ダムにおける事前放流の取組の効果と課題について伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 今回の台風第14号において、30のダムで事前放流を実施し、例えば立花ダムのある三財川などでは、洪水時にダムからの放流量が減少できたことに加え、河川の掘削を実施し、水位が低減されたことにより、平成17年の台風第14号と比較すると家屋浸水被害が軽減されるなど、一定の効果があったものと考えております。 一方で、ダムの放流設備等の構造によっては、放流量が制限され、事前の貯水位低下に時間を要すること、また、線状降水帯の発生などの早期かつ正確な降雨予測が現段階では難しいことなど課題もあります。 県としましては、これらを踏まえまして、今後とも関係者と連携し、事前放流をはじめ、効果的な流域治水に取り組んでまいります。 ◆(坂口博美議員) 一概にその減少だけで判断は難しいんですけど、例えば、降雨量が何ミリと予測していた、しかし、結果的にその河川の流入域内に雨雲がかからなかったということもありますが、結果的にやっぱり治水効果が最後まで保てるか、また、その逆もしかりかなと思っております。 さらにこれは、気象の精度、予測の精度も含めてですけれども、まだまだ研究が要ると考えております。 事前放流は、成果がある一方で、今のように課題もありますが、県有ダムはもちろんのこと、特に電力会社の巨大ダムは、豪雨時の治水効果を大きく有しております。例えば一ツ瀬ダムでは、ダムは有効貯水量が1億5,550万立米であるのに対し、治水容積は2,700万立米でしかなく、まだまだ余力を持っておりますので、今後その能力をさらに大きくしてもらえることを期待したいと思います。 次に、県設置の残土処理場の崩壊問題について伺います。 先ほどのダムの問題についても、またこの問題につきましても、災害に対し強靱な国づくりのため、つまり国土強靱化のためには大きく注視すべき事案の一つだと考えております。 この事案については、県では第三者委員会を設置し、検討を行っていくようでありますが、具体的にはどのようなことを検証していかれるのか、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 県では、椎葉村及び美郷町の残土処理場の崩壊を受け、被災原因の究明・分析などを行うため、今月4日に「林地及び林道災害原因究明調査検討委員会」を設置したところであります。 委員には、林野庁のアドバイスを受けながら、砂防学や地盤工学などを専門とする大学教授3名を選定し、今月9日と10日に現地調査を行うとともに、第1回の調査検討委員会を開催したところであります。 今後、委員会において、必要に応じ現地調査を実施しながら、まずは、残土処理場が設計どおりに施工されていたのか確認を行った上で、地下水の流れや、地質・地盤に関する専門的な検証を行い、被災原因を特定するとともに、残土処理場の復旧に向けた設計の助言や、今後、同様の災害を引き起こさないために必要な技術的提言をいただくこととしております。 ◆(坂口博美議員) 崩壊、流出してしまっている処理場、ここから設計と施工の妥当性というのが検証できるのかどうか甚だ疑問なんですけれども、どうなっているんでしょうか。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 議員御指摘のとおり、既に残土処理場は崩壊しておりますが、崩壊はその一部にとどまっておりますことから、残存する盛土について、土の性質や締め固め具合、水の浸透などの試験を行い、委員会において、降雨に対する盛土の安定性を評価することとしております。 また、当時の設計図書や施工業者が管理した状況写真、管理図など現存する資料から、設計内容や施工状況等を確認していただくこととしており、客観的な検証を行うことは可能であると考えております。 ◆(坂口博美議員) ぜひ、徹底した解明につながるといいなと思っております。でも、なかなか難しいと思いますよ。 調査対象というか、検証の目的ですけれども、こういう類いの事故では、被害者への損害賠償に発展する可能性というのも考慮しなければいけないと思います。 崩壊の原因となった設計及び施工上の原因や責任の所在というものをしっかりと調査すべきと考えますが、知事の御認識を伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 今回、県が設置しました残土処理場が崩壊し、工場敷地や水田等に土砂等が流入したことによりまして被害を受けられた方々に対し、誠に申し訳なく思い、改めて心よりお見舞いを申し上げます。 現在、県では、土砂等の撤去に向けた準備を進めるとともに、調査検討委員会において、被災原因の特定や復旧工事の検討などのため、現地調査を行っているところであります。 議員御指摘のとおり、この委員会の検証結果は、設計や施工上の責任に伴う被害者への損害賠償に影響することが考えられますことから、これらを念頭に置いて、専門家の知見を踏まえた客観的かつ丁寧な調査に努めますとともに、原因究明後は、検証結果を踏まえ、法律の専門家である弁護士に相談し、責任の所在について明確にしてまいりたいと考えております。 ◆(坂口博美議員) 委員会を立ち上げたんですから、ぜひ、しっかりと検証していただくようお願いいたしておきます。 ところで、災害が発生した場合、「想定外」という言葉をよく耳にいたします。近年では、記録的な大雨をもたらす台風や線状降水帯が頻発しており、本県をはじめ全国各地で、甚大な被害が毎年発生しております。日本各地に毎年甚大な被害を引き起こす記録的な大雨が、果たして本当に想定外であるのか。確かに、近年の記録的な大雨は、過去には大変まれなるものでありました。しかし、地球温暖化がさらに進むことにより、大雨のリスクはより一層高まると言われています。 地球温暖化が降水量に与える影響について、そのメカニズムなどに関し、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 大雨をもたらす積乱雲は、水蒸気を含んだ暖かい空気の上昇により形成され、海面水温が高く、空気中の水蒸気量が多くなるほど発達しやすくなります。 現在、日本の平均気温や海面水温は、この100年で1度以上上昇しており、気温1度の上昇で、空気は水蒸気を7%程度多く含めるようになることから、大気中の水蒸気量も増加傾向にあり、地球温暖化の進行が大雨の発生につながると考えられております。 なお、気象庁のデータからも、2018年以降では、観測地点の3割で、72時間雨量が観測史上最多を更新するとともに、約40年前と比べて、1時間降水量について、10年平均で50ミリ以上は1.4倍に、80ミリ以上は1.7倍に、年間の発生回数が増えるなど、極端な大雨の頻度や強度が増大していることが確認できます。 ◆(坂口博美議員) 今の答弁で、40年前と比べてどう増えているのかというのが、なかなかイメージしづらいんですけれども、気象情報などでよく言われる、「過去に経験したことのない」だとか、「降り始めてからの連続雨量が例年の1か月分を既に超した」など、豪雨のたびに報道されますし、近年、雨の降り方というものが激変し、激しい雨が長時間、広範囲にわたって降り続いているのは実感済みであります。 先ほどの答弁では、短時間雨量など一定の時間内の雨量が増えているというふうに理解しましたが、台風などの大雨における総雨量はどうなっているのか、再度伺います。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 気象庁によりますと、今回の台風第14号では、最も雨が降った観測地点の4日間の総降水量は900ミリを超え、九州や四国地方では、複数の地点で9月の1か月の平年値の2倍前後となっております。 また、昨年8月の西日本から東日本にかけての大雨では、9日間の総降水量が、多いところで1,200ミリを超え、この月の西日本の1か月の降水量は、平年値の3倍を超えております。 また、過去に災害をもたらした気象事例では、1週間以上、雨が降り続いた事例の件数及び最も雨が降った観測地点の降水量の平均について、昭和20年以降の10年間は3件、721ミリに対し、平成24年以降の直近10年間では10件、1,362ミリと大幅に増加しており、このように近年、大雨の長期化や降水量が増大している傾向が顕著になっております。 ◆(坂口博美議員) 今の答弁のような状況からしましても、この自然災害防止に対しては、先ほどのダムにしても、また今回の残土処理場にしましてもしかりでありますが、近年の気象状況の中にあっては、従来の技術基準などでは通用しないものも出てきているのではないかと思料いたします。 そのような中、今年5月に成立した盛土規制法では、盛土を規制する区域を指定し、盛土を行う際は、都道府県知事等の許可が必要になると聞いております。 これらを踏まえ、今後、残土処理を行う場合は、一定の技術基準に基づき施工する必要が出てくると考えますが、県としてどのように対応していかれるのか、関係部の代表部長に伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 議員御指摘のとおり、今年5月に成立した盛土規制法では、規制区域内における残土処理を含む盛土等は、今後、政令等で定められる技術的基準に基づき、設計・施工を行うよう規定されております。 現在、国が公表している技術的基準の案では、地山と盛土との密着を図るための段切り施工を行うことや、盛土の締め固め厚さを1層当たり30センチ以下にして盛土すること、渓流等に設置する盛土の高さが15メートルを超える場合は、盛土本体などの安定計算を行い、安全を確保することなどが示されているところです。 さらに、国におきましては、技術的基準の運用マニュアルなどを策定していく予定と伺っておりますので、県としましては、これらの統一的な基準を踏まえ、残土処理の適切な設計・施工を行ってまいります。 ◆(坂口博美議員) そのほかにも伐開、伐根なども必要になってくるでしょうし、今の答弁の段切りや厚さ30センチ以下の締め固めとなりますと、逆に30センチ以上の大きな石とか岩というのは、そこにはそのままでは捨てられないことになるわけです。じゃ、それを砕いたり、選別したりする作業というものが、まず必要になってきます。それから、それを行うヤードの確保も必要になってきます。 これらを考えますと、残土処分のための経費は、特にトンネルなどでは処理費だけで莫大な経費になると思うんですね。だから、これはサービス工事じゃいけない。工事費積算においても、新たな経費の積み上げなど、しっかりと積算されるように求めておきます。 国土強靱化の取組については、本県を災害に強い県とするため、計画的に整備を進めておられますが、まだまだ道半ばであり、ましてや今後は、先ほどのダムの機能や残土処理の問題などのような新たな経費の発生など課題が待っております。 しかしながら、それでもなお、令和7年度までの5か年加速化対策後も継続して財源を確保していく必要があります。全国知事会の地方税財政常任委員長の立場として、国土強靱化対策予算の確保にどう臨まれているのか、御所見を伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 御指摘のとおり、国民・県民の命と暮らしを守るため、国土強靱化対策は、国・地方を挙げて取り組むべき喫緊の課題であると考えております。 このため、地方税財政常任委員長として、政府・与党に対し、その重要性を継続して訴えてきたところ、国費や地方単独事業を含む地方財政措置の拡充につながり、本県としてもこれらを最大限に活用し、県土の強靱化を進めているところであります。 しかしながら、先般の台風第14号における被災状況を見ますと、部長も答弁しましたとおり、これまでの対策の効果が現れている一方で、想定を超える被害の発生もあり、今後の継続的な取組の必要性を強く実感しております。 このため、来年度に向けた全国知事会の提言の中に、資材価格高騰の中でも、これまでの取組をさらに加速させるための必要かつ十分な予算の確保という点や、5か年加速化対策の完了後を見据えつつ、必要な財源の安定的・継続的な確保の必要性、これらを明記いたしまして、先日、国への要請活動を実施したところであります。 今後とも、全国の知事と連携し、全国のため、宮崎県のために、国土強靱化対策に必要な財源の継続的な確保に向けて、全力で取り組んでまいります。 ◆(坂口博美議員) これは大変大きな力の入れどころが待っていると思います。ぜひ頑張っていただきたいと思います。 それでは、視点を変えまして、引き続き質問いたします。 国土強靱化対策の実施により、本県の公共事業予算は大幅に増えているにもかかわらず、担い手となる建設業従事者は減少しております。 その要因は幾つかあろうとは思いますが、建設業や公共事業の果たす役割の重要性や建設業自体の魅力もさほど感じられなくなっているのではと考えます。 防災・減災対策を進める上で、建設業の担い手の確保は喫緊の課題であります。建設産業における担い手確保に向けた取組について、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 県では、建設産業の深刻な担い手不足に対応するため、産業開発青年隊における技術者の育成や、資格取得の支援などに取り組むとともに、建設業団体などと連携し、小学生から大学生を対象に、建設産業の魅力を発信する出前講座などを行っております。 また今年度から、県建設業協会に担い手コーディネーターを設置し、教育機関との連携強化などにより、建設企業の採用力向上への取組を支援するとともに、建設産業の魅力や企業情報などを若者向けに発信するため、携帯端末向けのポータルサイトの構築を進めております。 加えて、建設産業の魅力を高めるため、県発注工事における週休2日工事やICT活用工事のさらなる工種拡大など、働き方改革や生産性向上に向けた施策をより一層進めながら、しっかりと担い手の確保に取り組んでまいります。 ◆(坂口博美議員) 土木とか建築、荒っぽい仕事に見えるけど、物すごく緻密で精度を求められる仕事です。だから、特に若い人たちは、今の最先端のあらゆる技術を取得していく、そういう場を与えられると、そこにぐんと入り込んでいくのかなという気もいたしておりますので、ぜひ今の答弁のように、育成を頑張っていただきたいと思います。 そしてまた、公務員の担い手についてでありますが、これは、さきの9月議会でも数名の議員が取り上げられました。現在、発注側の県の土木技術職員の採用が大変厳しい状況にあることから、数年先には、発注量や事務量に見合った技術職員が確保できなくなり、県が担う業務の在り方も見直す必要があるのではないかとの懸念があります。 公務員の魅力を高めるためには、職場環境の改善を含めた働き方改革が大変重要と考えます。県土整備部における働き方改革に向けた取組について、お伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 御指摘のとおり、業務の削減・効率化に向けた働き方改革を進めていくことは大変重要であると考えております。 このため、私が自ら全ての出先機関へ出向き、若手職員を対象とした意見交換を行い、その意見を踏まえ、ウェブ会議の積極的導入をはじめ、災害待機時の応援態勢や執務環境の見直しなどを行ったところであり、このほか総合評価落札方式における入札手続の電子化や、現場確認をビデオ通話で行う遠隔臨場、庁内で使用する書類の統一化・システム化などにも取り組んでいるところであります。 また、来年度からは、より効率的に積算業務が行えるよう、ガイダンス機能が充実した新たな積算システムを導入するなど、デジタル技術を活用した、さらなる働き方改革を進め、魅力ある職場づくりに努めてまいります。 ◆(坂口博美議員) やはり、直接出向いて行かれて、様々な悩みなり、あるいは夢なりを聞いてあげられるということ、これが大きいのかなと思います。引き続き御努力方、お願いいたしておきます。 そしてまた、建設産業における担い手不足についてでありますが、私は、主たる理由の一つに、これから先も国家的に必要な基幹産業として事業を継続できるという、将来に向けての安心感の欠如があると考えております。 企業が将来の経営計画を立てる上で、「どれだけ稼いでいけるか」という観点は絶対に必要でありますが、公共事業を受注する建設産業においては、公共事業の量が不透明なままでは、そのような将来計画を見通せません。 このため、建設産業が、中長期的な見通しの下で安定的な経営ができるような予算確保の担保が必要であると思います。すなわち、建設業をなりわいとすること、あるいは職とすることへの将来の不安の排除こそ、最低限の不可欠条件であると考えております。 その意味からも、私は、今回の国土強靱化5か年加速化対策で終わるのではなくて、最低でも10年くらいの長期計画が繰り返し策定されるなどの見通しがなければ、建設産業における将来への不安は払拭されないと考えます。 本県は、他県に比べ災害リスクが高く、インフラ整備も遅れており、やるべきことはまだまだこれからであり、強靱化への取組は継続的かつ安定的に進めていかねばなりません。 知事は国土強靱化に関して、「ナショナル・レジリエンス懇談会」の委員であると伺います。持続的な建設産業を実現し、国土強靱化を継続的かつ安定的に進めていくためには、中長期的な予算の確保が必要と考えます。本懇談会における発言状況を含めて、今後の国土強靱化予算についての知事の考えを伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 地域の建設業者におかれましては、台風第14号の通過直後から、昼夜を問わず応急工事を行っていただいているところでありますし、先日の鳥インフルエンザの初動防疫においても大きな役割を果たしていただいておりまして、地域の守り手として、なくてはならない存在であることを改めて認識しているところであります。 災害リスクの高い本県にとりまして、着実に国土強靱化を進めていくためには、必要な予算を中長期的に確保することが重要でありまして、このことが、建設産業の安定した経営環境の整備につながるものと考えております。 このため、国土強靱化の次期基本計画の策定に向けまして、大学や経済界などの有識者により議論を行う「ナショナル・レジリエンス懇談会」に、私は地方自治体の代表委員として参画しているところでありまして、先日開催された懇談会におきまして、今年9月の台風第14号の被害について説明し、これまでの対策で一定の効果があったものの、本県の強靱化はいまだ道半ばであり、国土強靱化の取組は中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に取組を進めていくことが重要であると、国に強く訴えたところであります。 今後とも、私に与えられたこうした立場を最大限に生かしながら、国土強靱化予算の必要性を国に訴え、県民の命と暮らしを守るため、私が先頭に立って、必要な予算の確保に全力で取り組んでまいります。 ◆(坂口博美議員) 「ナショナル・レジリエンス懇談会」というのは、他の全国知事会の、例えば、先ほどの常任委員長とかのように、提言、提案、要望という立場から物申すんじゃなくて、意思決定の中に参画されておるわけですから、ぜひまた違った角度からの御苦労というか、汗を流していただければと思います。 そして、永山副知事にも、ぜひこの状況というのは知っていただいて、また今後、いろんな形でサポートいただければなと思っております。 それから、知事、「ナショナル・レジリエンス懇談会」というよりも、むしろ「防災・減災懇談会」とすれば本当に分かりやすいと思うんです。これは何かなと思って。存在が物すごく遠いですよね。これは私の個人的な考えですが、ぜひそこらも頭に置いていただければと思います。 そして、知事に一言申し上げたいんですが、先ほど私は、植村直己さんの言葉を紹介させていただきました。「最初は進むよりも引き返すことばかり考えているが、ある一定のところまで行くと、もう前に進むことしか頭にはない」という言葉を残しておられました。 知事は既に、県民を伴って、新たな生活へと進行を始められたわけであります。つまり、もう引き返さない、そういうところまで来ているのであります。前に進むしかない。未知なる世界への前進でもありますが、4期目への意思を示されたわけであります。「間違いなく私は、県民のためのよりよい生活様式を構築するんだ」との信念を持って、その方向性を、そしてビジョンをしっかりと示し、前に進んでほしいと考えます。 知事の決断力と合わせて、極めて優秀な頭脳集団であり、かつ使命感に満ちた県職員の皆さんの汗と力。知事と県職員の皆様が一体となって県民に奉仕する。それであるなら、我々の行く先には必ず、よい暮らしが待っていると思います。 ところで私は、河野知事は本当に幸せな人だなと思っております。地元の人間じゃないなどと、何かにつけて耳にしないわけでもありません。しかしながら、知事に就任されてはや12年がたち、いよいよ4期目を目指そうとされております。歯にきぬ着せずに申し上げるなら、並の人間だと、4期目ともなると、俺は優秀なんだと、ついつい自分が自分のみの力で育ってきたやに勘違いをしてしまうのも、また人の常であります。 知事に申し上げますが、いかにあっても知事には、「私は恵まれている。私を育ててくれているのは宮崎県民の皆様であり、県庁の職員であり、そしてまた、議会の議員たちなんだ。私自身の力で育ってきたのではないんだ」と、そう信じて、そのような姿で宮崎の新しい暮らしづくりに汗してほしいことを申し上げ、一般質問を終わります。(拍手) ○副議長(二見康之) 次は、日高博之議員。 ◆(日高博之議員) 〔登壇〕(拍手) 自民党の日高博之でございます。坂口先生の鋭い質問の後で荷が重いのでございますが、ルールですので、通告に従い質問をいたします。 本年6月定例会で、私が一般質問で知事にリーダーシップについて質問した際に、知事は「司馬遼太郎の小説「項羽と劉邦」が大好きで、自分は項羽ではなく劉邦でありたい。大事なことは、多くの皆様の力を結集して目標を達成していくこと、そのプロセスや姿勢が非常に重要だ」という趣旨の答弁をされました。 私の期待したリーダー像とは全く違うもので、正直、戸惑いもありましたが、飾らない、本心からの言葉だと感じました。また、本県の強みを市町村や関係団体との連携と評価し、「小さいながらも、しなやかな強さを備えた県」とされる発言も耳にしたところでございます。 私はこうした言葉に、河野知事の政治姿勢、リーダーシップに関する考え方がよく表れていると感じているのであります。と同時に、日々予測不能な事態が起こる今の時代には、強烈な個性を持ったカリスマ、スーパースターよりも、「他者の力を生かし、その力をまとめていくことができる人」が求められているのではないかと考えるようになりました。 そして私は、挫折が似合わないヒマワリのような知事と、何回も踏んで踏みつぶされて、はい上がってくる私みたいな月見草とは人生観が頭から違うというふうに勝手に思っていましたが、これまでのやり取りを見ますと、私は人生の先輩である河野知事に、改めて52歳にして自分の生き方や人生観をじっくり見詰め直すことができました。本当にありがとうございます。 知事は、今議会初日の提案理由説明において、自ら「県民との絆を大切にしながら、着実に実績を積み重ねてきた」と述べておられます。また、施策分野間の絆をより強くすることで、県内経済循環の強化や中山間地域の人材確保にも効果があるのではないかと考えます。 知事に、県民との絆を生かしたこれまでの成果とこれからの施策展開についてお伺いいたします。 以下の質問は、質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 私は「対話と協働」を掲げて県政運営に取り組んでおりまして、県民の皆様や関係団体との絆を生かして取り組んだ県政の最重要課題の一つとして思い浮かぶのは、新型コロナへの対応であります。 感染が拡大する局面におきましては、県民生活や地域経済の多大な影響を考えると、まさに苦渋の決断ではありましたが、様々な専門家、また県民の声に耳を傾けながら、県民の命と暮らしを守るため、厳しい行動要請など必要な対策を迅速に実行してまいりました。 一方で、感染が落ち着いた局面では、県としても事業継続のための資金繰り支援や雇用の維持、市町村と連携した消費喚起など、できる限りの経済対策を機動的に実行することで、難局を乗り越えてまいりました。こうした対策の構築や実施に当たりましても、事業者の皆様、医療関係者など様々な立場の皆様の御理解と御協力があったものと受け止めております。 また、強く記憶に残っておりますのは、口蹄疫からの再生・復興であります。非常に難しい、厳しい局面を生産者や農業団体などの皆様と一体となって乗り越え、そしてさらに、さきの全国和牛能力共進会で4大会連続の日本一に輝くことができたことは、関係者の皆様が積み上げてきたそれぞれの努力のたまものであると同時に、共通のゴールに向かって全員が共に汗を流し、力を合わせてきた固い団結力の結果であると考えております。 昨今のコロナ禍や原油・物価高騰などにより、当面は先行き不透明で厳しい状況が続くものと思われますが、県民の皆様や関係団体など多くの皆様との絆を大切にしながら、迅速かつ柔軟に、また力強く施策を展開することで、確実に宮崎再生を図り、夢と希望あふれる明るい未来を切り開いてまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(日高博之議員) 今年の日本シリーズは、オリックスが優勝で幕を閉じたわけであります。中嶋監督は、終始笑顔で、「選手が頑張ったから」と繰り返しておられました。控え目な性格なんです。髙津監督も控え目な性格。森保ジャパンの森保監督も控え目な監督で、人の力を引き出す天才ではないか、そういう指導者じゃないかなと思っております。あんまり大きな声じゃ言えないんですけど、監督が目立ち過ぎると、なかなか成績がというのもありまして……、これ以上、議事録には残したくないんでですね。 シリーズを見て感じたのは、特に球が速いピッチャーが次々と出てくることですね。多くの投手が160キロにも達するような、フォークも150キロを超えておりました。本県の山本投手もおり、また比嘉投手とか山崎投手も、皆出てくる投手がすごいんですけど、高校時代そんなに活躍した選手ではないんですよね。今回のシリーズで分かったように、もうパリーグでは160キロじゃないと通用しない。セリーグは150キロぐらいで通用するんですね。だから、村上選手がなかなか対応できなかったというのは、パリーグのレベルの高さなんですよね。ホークスに勝って、ここまでオリックスが上がってくるんですから、やっぱりオリックスの強さはすごいなと思っております。 話がちょっとそれるんですけど、なぜ、オリックスにこんなに球の速いピッチャーがそろったのか。それは、やはりひとえに速い球を投げるという「強み」を秘める選手を発掘する、探し出す。欠点の修正を行いつつ、それを補って余りある「強み」を伸ばすことに力を注力したからだと、私は考えております。 このことは、子育てや人材育成はもとより、県勢発展の方策にも通じるものがあるのではないかと私は考えますが、知事にこの2つの強みを伸ばす方策についてお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 宮崎県の強み、様々ございますが、例えば、宮崎牛やマンゴーなどの食、日本屈指のスポーツ環境、豊かな自然環境や神話等、こうした多彩な魅力、資源が本県の強みであると考えております。 特に、食につきましては、世界的な人口増加や国際情勢の変化等の影響によりまして、世界規模での食料安全保障問題が危惧される中、全国有数の食料供給基地としての本県の役割は、ますます重要になるものと考えております。 本県の農林水産業について、担い手の確保や生産基盤の強化を進めるとともに、フードビジネスの振興や、生産・流通・販売の強化などにより付加価値や競争力を高めるなど、その成長産業化を図ってまいります。 また、スポーツにつきまして、本県ではこれまで、県を挙げてキャンプ・合宿等の誘致に取り組み、その結果、ラグビーワールドカップや東京オリパラの事前合宿、侍ジャパン合宿などの受入れを実現し、本県経済の活性化にもつなげてきたところであります。 今後も、これまで培ってきたノウハウに加え、屋外型トレーニングセンター、国スポ・障スポ関連施設を整備、活用していく中で、国際水準のスポーツの聖地宮崎として、さらなる飛躍を目指してまいります。 さらには、G7宮崎農業大臣会合、宮崎県人会世界大会等の好機を捉え、本県の多彩な魅力を国内外に発信してブランド力を高め、インバウンドを含む観光振興やグローバル戦略の展開につなげてまいります。 ◆(日高博之議員) ありがとうございます。 次に、私は日向市のスポーツ少年団の本部長とか幼稚園PTA連合会の会長もしておる関係で、今、保護者や子供たちと、日頃から意見交換をする機会が相当あるんですよ。 そういった中で、特に今出てきているのが、「宮崎のシンボルキャラクターである「みやざき犬」はなくなるのか」という質問が相当多方面から上がってきております。私の娘も「みやざき犬」のファンで、「「みやざき犬」がなくなったら、もうパパとは話はしない」とか、そういうところまで言われておるぐらいで、何でかなと思ったら、発信力のある、今回の知事選のある候補者が「みやざき犬」の見直しを検討しているという発言をしているから、そういう話があったんだなということで、後で気づきました。 「みやざき犬」は宮崎を代表するゆるキャラで、子供たちから愛され、知名度も年々上がってきております。私は、宮崎のPRキャラクターとしてなくてはならない存在だと強く感じますが、「みやざき犬」に対する知事の思いをお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 「みやざき犬」は、私が初めて知事に就任した年、2011年に県のシンボルキャラクターに決定して以降、県民の皆様に県の様々な施策を親しみやすく、かつ分かりやすくお伝えするほか、県外へ向けましては、宮崎牛やシイタケ、神楽などの宮崎の魅力を、一目で分かるかぶり物で発信するなどの広報活動を、10年以上にわたって担ってきたところであります。 この「みやざき犬」の強みは、ほかのゆるキャラにはない個性的な3匹のユニットであるということとか、愛きょうのある見た目やしぐさと、それとはギャップのある切れのよいダンスなどで注目を集められることであります。 私はこれまで様々なイベントで、その様子と来場者の反応を見て、「みやざき犬」の発信力の高さと、子供から大人まで多くの人に愛され、人気が定着していることを実感しております。様々なイベントで、私が挨拶をしているのに、「みやざき犬」が出てくれば、そっちに注目がいってしまうといったところも感じております。 さらには、その動きやかぶり物といった見た目のみで表現が可能でありまして、万国共通で人の心をつかむものと考えておりますことから、今後さらに、海外での活躍というものも大いに期待をしているところであります。 国内外に向けて、本県の魅力を広く効果的に伝えるキャラクターとして活躍できると確信をしておりまして、その認知度はますます高まっていくものと期待しておりますので、これまで以上に積極的に活用し、宮崎の魅力をしっかりと発信してまいりたいと考えております。 ◆(日高博之議員) ですから知事、これまで知事が直接「みやざき犬」のPRをするというのが薄かったように思うんです。これからどんどんやっていくということなので、お願いいたします。「みやざき犬」をなくさないためにも、ぜひとも知事に、勝ち抜いて、引き続き県政を担っていただくことを願っております。 次に、県内産業のデジタル化の推進についてお伺いいたします。 県内産業のデジタル化を推進するために、それを担うIT技術者が必要ですが、世界全体でデジタル化・DX化が進む中、その人材不足が顕著になっております。 2月のデジタル田園都市国家構想実現会議において公表された資料によりますと、平成27年国勢調査のデータでは、全国のIT技術者約100万人のうち、6割弱の約58万人が東京、千葉、神奈川、埼玉のいわゆる東京圏に集中しており、都市部と地方とでは大きな格差があります。ちなみに、同じデータで、宮崎県のIT技術者数は2,570人ということです。 国としては、このようなデジタル人材の不足、都市圏への偏在を解決するため、6月に策定したデジタル田園都市国家構想基本方針において、2026年末までに230万人のデジタル推進人材の育成・確保に取り組むとしており、県の情報化推進計画においても、情報化を担う人材の育成・確保が柱の一つとなっております。 そこで、県は、デジタル人材の育成・確保のため、どのような取組を行っているのか、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) デジタル人材の育成・確保につきましては、首都圏のICT人材との人的ネットワークの強化や求職者の学び直し、県内ICT企業等への就職支援、ICT企業の誘致などに取り組んでおります。 また、県内産業のデジタル化を推進するためには、技術者だけではなく、企業の中で、一定の知識を持ち、デジタル化を進めるための業務の整理やICT企業との折衝などを担う人材も必要であります。 このため県では、AI技術の活用事例等を学ぶためのオンライン講座や、実際の企業現場で業務のDXを進めるための手順等をグループワークで学んでいく連続講座を実施するなど、様々な取組を進めております。 ◆(日高博之議員) 県内の中小・小規模事業者においても、デジタル化に取り組まなければならないという機運は少しずつ高まっていると思いますが、中小・零細が多い本県事業者は、「まず何から取り組めばよいのか分からない」「デジタル技術を導入するためのIT企業をどのように探せばよいのか分からない」といった状況であり、デジタル化の一歩目を踏み出すことができていないのではないかと思います。 このようなデジタル化に対する悩みや、いろいろな困り事を一つずつ解消していくことが、事業者のデジタル化を進める上で大事なことではないかと考えております。 そこで、中小・零細事業者のデジタル化を推進するため、事業者の相談窓口が必要であると考えますが、県の考えを総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 民間事業者のデジタル化を推進することにつきましては、啓発セミナーや人材育成の講座、デジタル技術の実装支援のほか、悩みを抱えておられる事業者の課題を整理し、ICT企業とのマッチングなどを行う伴走支援にも取り組んでいるところであります。 その中で、「小規模な事業者でも参考になる事例が知りたい」、あるいは「デジタル化についてどこに相談すればよいかよく分からない」、そういった声を多く伺っており、様々な悩みを抱える事業者に対し、きめ細かな支援を届けていくことが課題であると認識しております。 このため、今年度の取組の内容を精査しながら、今後の支援体制を含め、より効果的な支援の在り方について検討をしてまいります。 ◆(日高博之議員) しっかり検討をお願いいたします。 次に、福祉人材の確保についてお伺いいたします。 人口減少、少子高齢化待ったなしの中、あらゆる分野で人材不足が叫ばれておりますが、特に福祉分野では、人材確保が大きな課題となっているところであります。 本県でも、福祉分野の担い手確保のため、事業所と働き手のマッチング、介護の仕事の魅力を紹介するテレビ番組の放映、介護を学ぶ外国人留学生に奨学金を支給する介護事業所への支援等、様々な手法で人材確保に取り組まれていることは承知しております。 コロナ禍にあって、地元志向の追い風から、高校生の県内就職率は改善傾向が見られてはおりますが、福祉関連職業の有効求人倍率は全職種平均と比べ1ポイント以上高い状況にあり、福祉・介護の現場では人手を必要としています。 本県の将来を担う若い世代の方々にどうやって福祉分野への就職を選択していただくか、就職先の選択が間近に迫った高校生、あるいは大学生に、福祉分野の就職をアピールしても遅過ぎるのではないでしょうか。もっと早く、中学生のうちから、支援を必要とする方々の日々の暮らしを支える福祉の仕事の魅力を伝え、福祉分野に興味・関心を持ってもらうことが重要ではないかと考えますが、この点に関する県の取組について、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 議員御指摘のとおり、若い世代に福祉分野を就職先として選択していただくためには、福祉の仕事について、中学生など早い段階から知っていただく必要があると考えております。 このため県では、児童生徒向けに福祉の仕事を紹介するガイドブックを作成し、県内の小・中・高校に配付するとともに、中学校、高校において出前講座を行うほか、福祉系高校で介護を学ぶ生徒が中学生に介護の仕事の魅力を伝える交流会を開催しております。 県としましては、少子高齢化が進む中で、将来にわたって、福祉・介護サービスを継続して提供するため、引き続き、教育委員会等と連携し、福祉人材の確保に取り組んでまいります。 ◆(日高博之議員) 次に、幼保小連携・接続について伺います。 幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎となる時期であり、義務教育やその後の学校教育の基礎については、この幼児期からしっかりと培っていく必要があります。このため、小学校就学前の教育と小学校教育とを円滑に接続していくことが重要であります。 しかしながら、現在、幼保小連携・接続への意識や取組については、市町村間や幼保小間で差があるという状況ではないかと思います。 国においても、「令和の日本型学校教育」を目指し、質の高い学びに向けた取組を推進することとしており、その中では、幼稚園・保育園・認定こども園といった施設類型を問わず、幼児教育の質の向上と小学校教育の円滑な接続を図ることが重要視されております。 そこで、本県における幼保小連携・接続の取組状況について、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 子供の成長を切れ目なく支えるためには、幼児教育・保育施設と小学校がお互いに理解を深めながら、円滑な連携・接続を図ることが重要であります。 県内の幼保小連携の取組につきましては、交流はあるものの、接続を見通したカリキュラムの編成までは至っていないケースが多い状況であります。 このため県では、幼保小連携・接続推進会議を設置し、研究指定地域における取組や様々な課題について具体的な協議を行うとともに、研究成果を県内に広く展開するための、幼児教育・保育施設や小学校を対象とした研修会を実施するなど、市町村における連携推進体制の確立に向けた支援に取り組んでおります。 ◆(日高博之議員) ありがとうございます。 続きまして、幼児教育センターについて伺います。 幼児教育に関しては、幼児教育・保育の無償化など、全ての子供に質の高い教育・保育を適切に提供するための体制整備が進められてきており、平成29年度には、幼稚園、保育所、認定こども園の各要領等において、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」が明確化、そして共通化されております。 こうした幼児教育の指導指針の着実な実施はもとより、園バスの安全対策や新型コロナ対策、特別な配慮を要する園児への対応など、幼児教育現場における課題は多様化しております。質の高い幼児教育の推進や専門性の高い課題に的確に対応していくためには、現場をバックアップする体制の充実が不可欠であり、拠点となる「幼児教育センター」を設置するなど、体制強化を図る県も増加しております。 本県においても、幼児教育・保育施設の現場からは、幼児教育センターの設置を求める声が高まっております。 そこで、本県の幼児教育推進体制の強化を図るための幼児教育センターの設置について、知事の考えをお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う大切な時期でありまして、質の高い幼児教育を全ての子供たちに提供することは大変重要であると考えております。 御質問にありましたとおり、幼児教育現場におきます多様化、専門化する様々な課題に的確に対応するため、幼児教育の内容の充実や専門性の向上が求められております。 お尋ねの幼児教育センターにつきましては、幼児教育の質の向上や幼保小連携・接続の拠点として位置づけられておりまして、その果たす役割は大変大きなものがあると考えております。 現在、関係部局と教育委員会が連携して具体的な検討を進めておりまして、今年9月には、幼児教育団体や学校、市町村などの関係者を交えた検討委員会を設置し、施設職員の研修内容や訪問指導体制、連携・接続の推進方法など、センターの機能や体制について協議を行っているところであります。 引き続き、幼児教育センターの設置について、関係機関と連携を図りながら、具体的な検討を進めてまいります。 ◆(日高博之議員) 学校や教育委員会と連携して、ぜひやってほしいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、半導体不足について伺います。 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた県内事業者を支援するため、県においては、国のコロナ交付金等を活用しながら、県内企業のニーズに応じた補助事業などに取り組まれているところであります。 しかしながら、コロナ禍に加え、原油価格や物価の高騰等によって、依然として県内事業者は厳しい状況にあることから、引き続き、必要な対策を打ち出していくことが必要と考えます。 このような中、半導体不足が幅広い分野に影響を与えており、例えば自動車など、これまでならすぐに買えていたものが、手元に届くまで数か月以上を要する状況となっております。 通常、県が実施する補助事業は、年度内に事業を完了する必要がありますが、このような半導体不足の影響により、期限内に納品されるめどが立たず、必要な支援を受けられなかった事例もあると聞いております。 そこで、環境森林部長と商工観光労働部長に、県が国の交付金を財源として行う事業者支援において、半導体不足により年度内に事業が完了できなかった等の影響が出ている事例はないのか、お伺いいたします。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 環境森林部におきましては、今年度6月補正において構築しました、太陽光発電設備の導入などを支援する補助事業について、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源としており、当該交付金は翌年度への予算繰越しが認められていないことから、年度内の事業完了を補助要件としております。 このような中、事業者から、補助金交付申請に係る事前相談において、太陽光パネルで発電した電気の制御装置の一部が、半導体不足の影響により入手困難であり、年度内の設置完了が難しいとの声が複数寄せられ、事業者が補助申請を見送ったという事例がございました。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 商工観光労働部におきましては、昨年度、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源とした事業として、コロナ禍における県内中小企業の新分野・新事業展開への進出を支援する「地域中小企業等新事業構築支援事業」を実施いたしました。 この事業では、年度内の事業完了を補助要件として、177事業者に交付決定を行いましたが、そのうち3事業者において、導入を予定した装置が、半導体不足の影響により年度内での導入が困難となり、事業を中止しております。 ◆(日高博之議員) 地方創生臨時交付金を活用した事業の中にも、半導体不足の影響により納品の遅れが生じ、予定の事業期間内に完了しなかった事例もあるということでありました。 国の交付金事業を活用した事業であっても、やむを得ない理由によって事業期間内に完了しない場合は、一定の手続を行えば繰越しが認められることは、私も理解しておりますが、実際の運用が実態に合っていない感じがしております。 現在の状況を鑑みますと、半導体不足によって様々なものが入手しにくい状態は、今後も続くことが予想されます。先ほどの事例のように、半導体不足による納期の遅れということであれば、事業者の責めに帰さない正当な繰越し理由と考えられますので、半導体不足による事業の遅れについては繰越しを認めることを、あらかじめ国に指示していただくなどの工夫もできると思います。 臨時交付金を最大限活用するためにも、繰越要件の緩和等の弾力的な運用を国に求めていくべきと考えますが、総合政策部長に県の考え方をお伺いいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 地方創生臨時交付金につきましては、対象事業の拡充など、地方の意見が制度設計に十分反映されるよう、これまでも全国知事会と一体となって、国と様々な協議を重ねてきたところであります。 また、運用に当たっては、地域の実情に応じたきめ細かな事業を実施するため、手続の簡素化など弾力的な取扱いを国に要望しておりまして、繰越し手続に係る提出書類の簡略化など、一定の対応が行われております。 御質問のとおり、半導体不足をはじめ、様々な状況の変化が今後も想定されますので、適正な事業期間を確保し、効果的な施策を展開できるよう、繰越し要件の緩和など交付金の弾力的な運用について、引き続き様々な機会を通じて国に求めてまいります。 ◆(日高博之議員) 知事はもう直接、国の中枢の方にインプットできるポジションにいるわけですから、この辺もしっかりお願いしたいと思います。 次に、クロマグロについてであります。 クロマグロは本マグロとも呼ばれ、とてもおいしく、人気があり、本県でもマグロはえ縄漁業や定置網漁業で漁獲され、高価で取引されております。 このクロマグロについては、国際的な資源管理の下、都道府県ごとに漁獲枠が定められておりますが、先日、地元の漁師さんから、「クロマグロの漁獲枠をもっと増やしてほしい。最近では枠を使い切って、捕っても放流しなければならないことが多くなってきた」という要望がありました。 クロマグロを漁獲する漁業者は、決められた漁獲枠を守るため、釣れた魚を放流したり、操業を自粛したりと、日々の資源管理に取り組まれているそうです。 そこで、農政水産部長に、本県におけるクロマグロの資源管理の状況についてお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) クロマグロの資源管理については、国際的な管理の下、漁獲量が厳しく制限されており、日本に割り当てられた漁獲枠は、さらに国によって各県に配分されています。 県では、この漁獲枠をより有効に活用するため、漁業種類や地域、期間ごとに漁獲量の上限を定め、漁獲量を常時把握しながら、適切な管理に努めています。また、枠を超過しそうな場合には、国からの追加配分や他県からの譲受けなど、必要な漁獲枠の確保に努めております。 国の報告によると、これまでの取組により、資源は順調に回復してきておりますので、将来の漁獲枠増加につながるよう、引き続き、国等と連携しながら、資源管理にしっかりと取り組んでまいります。 ◆(日高博之議員) 資源が回復しているということで、引き続き資源管理に取り組んでいただいて、将来の本県の漁獲枠が大きく増加することを祈っておりますし、漁師さんの努力が報われることを願っております。 引き続き、水産についてお伺いいたします。 国は、水産政策の改革で、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスの取れた漁業就業構造を確立することを目指すとしております。 本県におきましても、漁業者が安心して経営を継続するためには、水産資源の回復を図るため、資源管理の強化が重要ですが、何より、それと両立した漁業の収益性を高めることが極めて重要だと思います。 そこで、本県水産業の収益性向上を図る取組について、知事にお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 本県水産業の持続的な維持・発展には、資源の適切な管理と漁業の収益性向上の両立が極めて重要だと考えております。 このため県では、国の事業を活用して、高性能漁船などの導入によりまして生産性の向上を図るとともに、浮魚礁の整備や海洋レーダーによる海況情報の提供により、操業の低コスト化に取り組んでいるところであります。 また来月、新たに竣工します県漁業調査船「みやざき丸」は、最新の調査機器によりまして、資源や漁場の探索機能が強化されており、操業のさらなる効率化に大きく貢献するものと考えております。 こうした取組により、本県水産業の競争力を高め、漁業者が安心して経営できるよう、本県水産業の発展に努めてまいります。 ◆(日高博之議員) 宮崎牛だけではなくて、マグロのPRもよろしくお願いいたします。 次に、親元就農について伺います。 農業の担い手が減少する中で、持続可能な農業を展開していくためには、担い手の確保・育成は喫緊の課題ではないかと思います。 本県では、新規就農者の確保・育成に向け、就農相談から定着まで切れ目のない支援に取り組まれ、中でも新規参入に対しては、国庫事業による生活支援を目的とした資金給付などの手厚い支援が行われているようであります。 一方、親元就農は、親の資産をそのまま引き継げることや、親から技術指導を受けられる等のメリットがありますが、近年、減少傾向にあることから、もっと支援していくべきではないかと考えます。 そこで、親元就農に対する支援について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 県では、令和元年度より、国の事業の対象とならない親元就農者に対して、市町村と連携し、早期の経営安定に必要な資金を交付しております。 また、国に、親元就農者に対する支援を継続して要望した結果、経営開始時の機械や施設等の導入に対し、最大750万円を補助する「経営発展支援事業」が本年度、創設されたところです。現時点で、本県の採択者数は30人で、うち親元就農者が4人となっております。 県としましては、引き続き、市町村や関係団体と連携しながら、親元就農者の支援に努めてまいります。 ◆(日高博之議員) 経営発展支援事業は、親元就農はもとより、新規就農の初期投資費用の負担軽減につながるなど、就農を後押しする有効な対策と思われますが、今年度の事業活用者が、先ほど30名ということで、意外に少ない印象を受けました。 独立自営による新規就農者の確保数が毎年100人を超えている実績からすると、本事業を活用したい方々はもっといるのではないかと思われ、事業の活用拡大に向けた対応が必要だと思います。 そこで、今後、経営発展支援事業をどのように推進していくのか、農政水産部長に再度お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 本事業は、今年度、新たに創設されたため、事業の周知期間が不足したこと等により、議員御指摘のとおり、本県の新規就農者数に対し、活用が少ない状況にあると認識しております。 このため県では、今年の5月、国に対して事業手続の前倒し等を要望するとともに、8月から9月には各地域を巡回し、市町村や関係団体に、来年度の事業活用に向けて対象者の掘り起こしなどを依頼したところです。 また、来年度事業につきましては、詳細な情報が判明次第、農政水産部のホームページ「ひなたMAFiN」や市町村の広報紙等による情報提供など、様々な機会を捉えて農業者への周知を図り、活用を推進してまいります。 ◆(日高博之議員) この事業は750万円という上限があるようですが、今の、ハウス等の価格高騰が続いている状況を踏まえると、投資の規模に応じた支援の拡充なども必要ではないかと私は考えております。国へ要望するなど、取組の拡大に向けた対応をよろしくお願いしたいと思います。 次に、農業の担い手確保に当たりましては、農業経営者となる担い手のみならず、雇用人材についても幅広く確保していくことが必要であり、中でも外国人材の確保、とりわけ本県への入国が最も多いベトナム国との連携については、他の地域や他産業に遅れることなく進めていくことが重要であると考えております。 このような中、先月13日に、本県とベトナム国立農業大学が、人材の確保・育成に向けた連携合意締結を行った旨の報道があり、期待に胸を膨らませたところであります。 そこで、ベトナム国立農業大学との連携合意締結を契機として、農業分野での外国人材確保対策をどのように進めていくのか、県の考えを農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) ベトナム国立農業大学は、農学、畜産、獣医、食品化学等の14学部、約3万人の学生を擁するベトナム有数の大学であります。今回、同大学と初めて人材確保・育成に関する連携合意を締結したことは、今後の本県農業にとって大変意義あるものと認識しております。 県としましては、この連携合意を契機として、インターンシップ制度や技能実習制度を活用した学生等の受入れを円滑に行うため、県内農業経営体とのマッチング体制の構築等に、関係団体と連携して取り組むこととしております。 今後とも、本県、ベトナム双方にメリットのある取組として発展していけるよう、同大学との連携をより一層深めながら、本県農業の外国人材の確保対策を進めてまいります。 ◆(日高博之議員) 本取組のほか、G7農業大臣会合の開催を4月に控えるなど、本県農業の魅力を海外にも発信できる明るい話題が続くことになりますので、今後の推進についても、よろしくお願いいたします。 次に、10月に行われた全国和牛能力共進会で、本県は4大会連続内閣総理大臣賞を受賞しました。平成22年の口蹄疫からの復興を改めて示したわけであります。当時、様々な御苦労があった中で、移動制限区域内にいた県有種雄牛「忠富士号」を含む6頭を、家畜改良事業団から西都市尾八重地区に避難させ、県民の財産を守ったと伺いましたが、その経緯についてお尋ねいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 経緯につきまして、時系列にお答えいたします。 平成22年5月10日当時、県としては、農林水産大臣に対し、主力の県有種雄牛6頭を移動制限区域外へ移動することを認めてほしい旨の要請を行いました。 翌5月11日から12日にかけ、国の求めに応じ、移動する種雄牛の清浄性の確認や、移動制限区域内の畜産関係者からの同意などを完了させ、協議文書を国に提出いたしました。 これを受け、13日に農林水産省から本県に対して、種雄牛の移動は妥当と判断される旨の回答を得たことから、種雄牛を西都市に移動させたところです。 ◆(日高博之議員) この移動については、国からのお墨つきをいただいたから、行政判断で移動させたということで、再度お願いします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) はい。そのとおりでございます。 ◆(日高博之議員) 分かりました。残念ながら、そのときのスーパー中のスーパーである忠富士号が、その後、殺処分されたと。本当に悲痛だったと思うんですよね。過去にそのような苦難がありながら、今回の全共で、おいしさ日本一を証明するなど、本県の畜産農家のおかげであって、底力を感じるとともに、それをしっかりと支えてこられた、知事を先頭としたオール宮崎体制のたまものだと思っております。 こうした明るい話題が続くためには、人材の育成・確保が大変重要でありますので、引き続き頑張っていただくようお願いいたします。 次に、災害復旧工事における入札の不調・不落対策についてであります。 今回の台風第14号は、猛烈な風雨により、県北を中心に、道路、河川護岸の崩壊、土砂崩れが発生するなど、本県に甚大な被害をもたらしたところであります。 そこで、台風第14号による公共土木施設の被害状況と復旧に向けたスケジュールについて、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 今回の台風第14号における道路や河川などの公共土木施設の被害状況は、現時点で県、市町村合わせて、件数が1,438件、被害額が約403億円となっており、その内訳としましては、県が464件の約224億円、市町村が974件の約179億円であります。 復旧に向けたスケジュールにつきましては、現在、測量や調査設計を行っており、今月上旬から2月上旬までに国の災害査定を受け、順次、復旧工事に着手することとしております。 ◆(日高博之議員) 県と市町村を合わせて1,438件と、大変多くの被害箇所があるとの答弁でした。 災害査定が終われば、これから災害復旧工事の発注が急増することと思われます。加えて、本議会で追加提案された国土強靱化の補正予算も200億円を超える規模となっており、年明け以降、かなりの数の工事が発注され、地元の建設業者が対応できずに、災害復旧工事を中心に入札の不調・不落が増加するのではないかと危惧しているところでございます。 そこで、今後、災害復旧工事の発注が急増すると思いますが、不調・不落対策にどのように取り組んでいくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 今回の台風第14号に伴う災害復旧につきましては、件数が多くなることに加え、県北地域に集中していることから、御指摘のとおり、入札における不調・不落の発生が懸念されるところです。 このため、現場代理人の常駐義務の緩和や、工期の余裕期間の設定などの取組を積極的に活用し、受注者の負担軽減を図ることとしております。 また、被災地域内の建設企業単体のみでは、施工を十分に担うことができないことが想定されるため、JV制度の活用を検討しているところです。 さらに、今回の災害で被害が多かった市町村と合同で、建設関係団体と十分な意見交換を行い、地域の実情の把握に努め、災害復旧工事の円滑な発注に取り組んでまいります。 ◆(日高博之議員) ありがとうございます。 JV制度の活用、これ重要だと思うんですよね。この辺をしながら、不調・不落対策について、様々な取組を検討いただきますよう、市町村ともしっかりと意見交換しながら、対応をお願いいたしたいと思います。 これから災害復旧工事が本格化していく中で、県民の皆様の日常を1日でも早く取り戻すためには、建設業の力を十分発揮してもらう必要があります。県としても、しっかり後押しをしていく必要があると考えます。そのような中、今月2日、宮崎県建設業協会が河野知事に対して、「台風第14号災害からの復興を図るために必要な社会インフラの早期復旧に向けた緊急要望」を行ったと伺っております。 要望書を見ますと、道路の寸断による資材価格上昇への対応や、被災地域で工事が集中することによる建設資材逼迫による負担増への対応など、早期の復旧・復興に向けて、速やかに取り組む必要がある内容ではないかと感じたところであります。 そこで、台風第14号災害からの早期復旧に向けて、宮崎県建設業協会が知事に緊急要望を行いましたが、その辺、どのように取り組んでいくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 台風第14号災害からの早期復旧に向けて、円滑な工事の執行を進めるためには、適正な予定価格の設定が大変重要であります。 このため、緊急要望の内容を踏まえ、早速、今月から3つの取組を行ったところであります。 まず、国道327号の通行止めにより影響が生じている生コンクリートの価格については、原材料の輸送費の増加を考慮した単価を設定いたしました。 次に、被災地域で主要な建設資材が逼迫することによるコスト増加に適切に対応するため、実態に応じて設計変更できる運用を定めたところです。さらに、建設資材の高騰を受けて行っていた臨時調査を、被災地域等においては継続して実施することとしております。 今後とも、一日も早い復旧・復興に向けて、災害復旧工事の円滑な執行に取り組んでまいります。 ◆(日高博之議員) 早急な対応をしていただいたということで、ありがたい限りです。安心いたしました。引き続き発注者、受注者が一丸となって、災害からの復旧・復興に向けて取り組んでいただくよう、お願いいたします。 次に、盛土規制法についてですが、この法律は、全国一律の基準で、様々なエリアを隙間なく規制することから、環境森林部、農政水産部、県土整備部の公共三部の連携が必要ではないかと6月議会で質問したところ、知事より、「この法律は、組織を横断した対応が必要であり、県全体で強く連携し、取り組む」との答弁をいただきました。 このような中、本県でも、台風第14号では多くの災害が発生し、盛土の流出も確認されたところでございます。本県においても、盛土規制法に適切に対応することが大変重要であり、このためには、公共三部をはじめ、県全体でスクラムを組んだ体制の下、着実に進めていく必要があります。 そこで、盛土規制法の施行に向けて、現在、どのような体制で、どのように検討を行っているのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 県では、公共三部に加え、県とともに盛土規制法の許可権者となる宮崎市や、独自の条例を有する延岡市とも連携し、ワーキンググループを9月に設置したところであります。 この中で、規制区域の指定に向けたロードマップの策定や、基礎調査の実施方法、さらに、盛土情報を住民から幅広く収集する仕組みづくりや、危険な盛土などが確認された場合の対応手順などについて検討してきたところです。 また、区域指定後に生じる様々な業務への役割分担のほか、公共工事で発生する残土の受入先の確保などについても検討することとしております。 今後とも、国の動向を注視しつつ、このワーキンググループを活用しながら、盛土規制法に関連する業務を着実に進めてまいります。 ◆(日高博之議員) 坂口先生からも質問がございましたが、そういったことで、しっかりと公共三部の連携を取ってもらいたいと思っております。 公共三部と関係市がしっかりと連携して、盛土規制法対策に取り組んでおられるわけでありますが、そのような中、今議会で盛土防災総合推進事業が補正予算で追加提案されており、県内の盛土調査費8,300万円が計上されたところであります。この事業は、盛土対策を進めていく上で大変重要な事業だと思っております。 そこで、盛土防災総合推進事業における取組内容について、県土整備部長に再度お伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 今回の補正予算でお願いしております盛土防災総合推進事業につきましては、盛土規制法の施行に先駆け、県と宮崎市が一体となって、規制区域の指定に必要な土地の利用状況等の調査や、人家等に被害を及ぼし得る既存盛土の分布状況の把握などを行うものであります。 また、住民からの通報窓口となる「盛土110番」を新たに設置し、区域指定前の危険な駆け込み盛土などを的確に把握するとともに、必要に応じて行政指導や応急対策を行うこととしております。 今後とも、県民の安全安心な暮らしの確保に向け、公共三部はもとより、県内市町村と連携し、盛土規制法の実効性を速やかに発揮することができるよう、しっかりと取り組んでまいります。 ◆(日高博之議員) 基礎調査を速やかに行うとのことや、区域指定までの期間に対応する「盛土110番」の設置など、適切に対応されるということで、分かりました。この「盛土110番」がばんばん鳴らないようにお願いいたしたいと思っております。 次に、内水面の水産資源についてです。台風第14号による内水面漁業への影響と対策について伺います。 本県は、九州の中でもアユ、ヤマメ、ウナギなど内水面漁業が盛んな県であります。特に五ヶ瀬川では、今まさにシーズン中であるアユやなに多くの観光客が訪れ、また、山間部のヤマメ釣りには、福岡、熊本のほか、遠くは東京からも遊漁者が訪れるほど、本県には人気のある渓流があります。 このような状況の中、本年9月の台風第14号による大雨により、河川にも大きな影響がもたらされました。台風の通過がアユの産卵時期と重なったことで、アユが産卵する石が泥をかぶり、産卵する親アユも流され、あるいは滞留して痩せ細り、このままでは次年度の天然アユの遡上が全く期待できない状況にあります。 また、ウナギの寝床であります岩の隙間や、内水面漁業者が設置したウナギの石倉礁なども埋まってしまい、ウナギ資源への影響を懸念する声が、内水面漁業者から届いております。 企業局には、日頃から本県内水面漁業振興に尽力いただいており、令和2年度からは、農政水産部と共同で、県内河川でのアユの産卵場の造成やアユ・ヤマメの稚魚放流、外来魚の駆除にも支援をいただき、多くの内水面の皆様から、井手企業局長に大変感謝の言葉が届いております。 今シーズンのような自然災害による重大な影響があった場合には、企業局が水力発電を行っている河川に対し、内水面水産資源の回復のための支援を行うことができないのか、井手企業局長にお伺いいたします。 ◎企業局長(井手義哉君) 川の恵みを受けている水力発電は、地元の御理解と河川環境への配慮が大変重要であります。 このため、企業局におきましては、農政水産部との共同事業により、令和2年度から「みやざきの内水面資源回復推進事業」に取り組んでおります。 加えて、水力発電を行っている河川での企業局独自の取組といたしまして、内水面漁協や地元自治体等が、水力発電の理解促進と併せて行う河川環境保全活動を支援する事業を設けております。こうした事業を活用していただくことで、今回のような状況に対する資源回復にも役立てられるものと考えております。 今後とも、内水面漁協や地元自治体等をはじめ、地元の皆様方の御意見をお聞きしながら、河川環境保全等につきましても、関係機関と連携し、推進してまいります。 ◆(日高博之議員) 井手企業局長から非常に前向きな答弁をいただいて、内水面に関係する皆様もほっとしているところだと思いますので、よろしくお願いいたします。 続いて、ひなたサンマリンスタジアム宮崎についてであります。 今年10月頃、読売巨人軍の関係者から、私のところに「サンマリンスタジアムの芝が傷んでいるのではないか」との連絡がありました。その後、巨人軍の秋季キャンプは無事に終了したところですが、言うまでもなくサンマリンスタジアムは、スポーツランドみやざきを推進する本県の中核施設であるとともに、巨人軍にとっても重要な施設であることから、本県としては、今後のために適切な管理が必要ではないかと考えております。年が明ければ、巨人軍の春季キャンプや、WBC日本代表の宮崎合宿も控えております。 そこで、ひなたサンマリンスタジアム宮崎の芝の状況について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 宮崎の温暖な気候を生かした内外野総天然芝のひなたサンマリンスタジアム宮崎は、巨人軍のキャンプをはじめ、プロ野球公式戦などが開催されるスポーツランドみやざきの中核施設であるとともに、県内で野球に携わる方々にとっても憧れの場所であります。 議員の御指摘にもありましたように、今年は例年よりも害虫の被害が大きく、9月から10月にかけまして、芝に傷みが出た時期もありましたが、各種大会や行事の合間に駆除や肥料散布を行い、各大会や巨人軍の秋季キャンプの受入れは円滑に実施できたところであります。 県教育委員会といたしましては、プロスポーツ選手、そして県民の皆様が安全かつ快適に利用できますよう、引き続き関係機関と連携を図りながら、施設の適切な管理に努めてまいります。 ◆(日高博之議員) 教育長、答弁ありがとうございます。 これは、芝生の管理というか、県の公園の関係で、教育委員会と都市計画と、もう一つ何かあったですよね。よく分からない、オール……、商工ですね。縦割り過ぎてよく分からないんで、何かもうちょっと分かりやすくやってもらったほうがいいのかなと思います。スポーツランドみやざきが重要だと知事が言っているわけですから。その辺もお願いしたいと思いますが、このヨトウムシはガの幼虫ですね。何かきれいなんですかね。成虫を見たことはないんですけど。いつ飛来するか分からないので、この辺しっかりと管理をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。 最後になりますが、来年2月1日からの巨人軍の春季キャンプに続き、17日からWBC日本代表の宮崎合宿が開始されます。今回は11日間の長期間で実施され、25日土曜日と26日日曜日には、同じく宮崎市内でキャンプを実施している福岡ソフトバンクホークスとの壮行試合も開催されると伺っております。 今回のWBCには、エンゼルスの大谷選手が参加の意向を表明しており、合宿に参加すれば、2009年のイチロー選手が参加されたとき以上の盛り上がりが予想されます。 合宿の実施に当たっては、選手、スタッフをはじめ、多くの観客を迎え入れるための準備をしっかりと行っていただくとともに、せっかくのこの機会を、本県のPRに生かしてほしいと考えております。 そこで、知事にお聞きしますが、WBC日本代表の宮崎合宿に向けての知事の意気込みをお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 来年3月に開催されます第5回WBC日本代表の事前合宿につきましては、先般、日程が発表され、過去最長の11日間を受け入れることとなりました。 本県は、2009年の第2回から4大会連続で合宿地として選ばれておりまして、これまでの実績が高く評価されたものと大変うれしく思う一方で、その役割の大きさに身の引き締まる思いも感じているところであります。 県としましては、本大会直前の大事な合宿でありますことから、宮崎市や関係機関と連携し、世界一奪還のために、万全の受入れ態勢を整え、県民挙げて、この合宿を盛り上げてまいります。 また、御指摘がありましたように、イチロー選手が参加した第2回の合宿の際は、延べ約24万人が来場しております。今回は、それを上回る可能性もありますことから、経済効果が大変楽しみなわけでありますが、安全かつ快適に観戦できるよう、交通対策や感染症対策に万全を期すことはもとより、この絶好の機会を逃すことなく、4大会連続で内閣総理大臣賞を受賞し、おいしさ日本一となった宮崎牛をはじめとする本県の食の魅力や、宮崎の自然の美しさなどをしっかりPRしてまいります。 ◆(日高博之議員) 知事の答弁で、4大会連続内閣総理大臣賞を受賞した宮崎牛をしっかりPRするという言葉もいただきました。 これも当局、知事も御存じだと思いますが、宮崎県には「二刀流」という名前の種牛がいるようです。例えば、私個人の提案でありますが、大谷選手が合宿に参加すれば、県産品として宮崎牛を贈呈し、その際に、この「二刀流」の種牛に触れていただくなどすると、話題性が非常に高まるのではないかと思っております。 そうなれば、やっぱり海外からの記者も来ると思うんですよね。アナハイム、ロサンゼルスから来たときに、来賓として受け入れて、その辺はしっかりとやって、エンゼルスタジアムでハンバーガー、二刀流ハンバーガーと、将来あり得る可能性もあって、宮崎牛が黙っていても世界に行くんですね。この機会を逃す手はないので、そこは知事が先頭に立って、いろんな角度からアイデアを出し合って、本県のPRをお願いしたいと思います。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(二見康之) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時54分休憩─────────────────────   午後1時0分再開 ○議長(中野一則) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、武田浩一議員。 ◆(武田浩一議員) 〔登壇〕(拍手) 自由民主党串間市選出の武田浩一でございます。本日は、串間から一日がかりで議会傍聴に来ていただきまして、本当にありがとうございます。感謝いたします。 「縁ありて、花ひらき、恩ありて、実を結ぶ」「出会いに感謝」を基本に、私は20年近く生きてまいりました。今なお悩み多き日々ではありますが、悩んだとき、行き詰まったときには、この基本に返るように心がけています。 最近、思うことがあります。何事をなすにも一人では何もできないということであります。国のトップである総理大臣も、県知事も、行政課題に対応するために基本的な方針を決定し、その方針に基づき、具体的な施策を進めてまいります。いろいろな立ち位置の人がいても多様な価値観を認め合いながら、多くの関係者や職員の方々と議論し悩みながら、そして少しでも多くの方々に理解していただく努力をし、決定していくものだと思います。 世界では政治・経済が不安定な状態であり、時代の変革期に来ていると感じています。本県も多くの課題や困難に直面していますが、少しでも多くの皆様の御理解を得られるよう努力することで、本県はチーム宮崎で乗り越えていけると確信しております。 さて、来年4月には県議会選挙が行われ、県議会議員数名の先輩方が勇退を表明されております。出会いと別れは世の常でありますが、県議会議員のすてきな先輩方と、これまでに出会った全ての皆様の御恩に感謝しながら、今任期最後の一般質問に入ります。 まずは、知事の政治姿勢について。 河野知事は「対話と協働」「現場主義」というスタンスで、国や市町村、経済団体と連携体制を構築しながら、口蹄疫、鳥インフルエンザ等の危機的状況から本県の復興・成長を進めてこられました。 現在も新型コロナ対応、原油高・物価高騰等の対策を打たれながら県政運営に鋭意取り組んでいただいておりますが、12月の知事選挙に当選されますと、県政4期目がスタートします。次期県政運営は、新型コロナウイルス感染症で疲弊した本県経済の再生と感染症対策を講じながらの、これまで以上に難しい県政運営になると推察いたします。 さらに、宮崎県政の課題はこれだけではなく、少子高齢化、人口減少をはじめ、多くの課題が山積しています。その課題解決には3期12年の経験と実績、国との太いパイプ、そして宮崎県を「安心と希望あふれる宮崎へ導く」という強い信念と行動力が必要であると考えます。 そこで河野知事に、4期目を見据え、県勢発展、宮崎再生にどのような考えで取り組んでいかれるのか、強い意気込みを伺います。 以上、壇上からの質問を終わり、あとは質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 現在、コロナ禍に加えて、原油・物価高騰、100年に一度とも言われるこの難局に直面し、県民の暮らしや経済は大きな影響を受けておりますが、県民の皆様から次期県政を負託いただけるのであれば、次の4年間を宮崎再生の期間と位置づけ、県民の力を一つにして、この難局を克服し、本県を次のステージへと飛躍させるための取組を進めてまいりたいと考えております。 4期目に向けた私の思いにつきましては、先日発表いたしました政策提案の中でもお示ししておりますが、まずは新型コロナ対策により、県民の命と健康を守る取組のほか、宮崎再生基金等を活用して、厳しい状況に置かれている方々の暮らしや経済活動の回復に積極的に取り組んでまいります。 次に、本県が持続的に発展していくための土台づくりとしまして、人口減少対策をはじめ、医療・福祉の充実や中山間地域対策、防災・減災対策の強化、高速道路をはじめとする交通・物流ネットワークの充実などに取り組んでまいります。 そして、活力ある未来づくりのため、本県の基幹産業である農林水産業の成長産業化や中小企業等の育成・振興、デジタル社会・ゼロカーボン社会に向けた取組の加速化、地域産業を支える人材の育成などに取り組んでまいります。 このほか、宮崎の魅力や価値を国内外に発信することでブランド力を高め、国際水準のスポーツの聖地宮崎としてのさらなる飛躍や、インバウンドを含む観光振興や移住の促進、グローバル戦略の展開に取り組んでまいります。 このような取組を通し、誰もが安心して暮らすことができ、楽しさや幸せを実感できる安心と希望あふれる宮崎県を実現してまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(武田浩一議員) 次に、地域課題に対する知事の考えを伺います。 11月7日に、県議会自民党会派「地域振興・産業振興調査会」で、西諸地区意見交換会に出席してまいりました。2市1町の首長、議長をはじめ、JA、商工会議所、商工会、建設業協会、森林組合等の代表の方々と、予定の2時間を超え、みっちりと意見交換をしてまいりました。 そこで、西諸地区と県内の条件不利地域の抱える課題は同じであると痛切に再認識させられました。それは、「医療体制の確保(医師確保と診療科の偏在)」「県立高校の存続」「人口減少対策」の大きく3つであります。 本県でも特に人口減少・高齢化の進む地域共通の、地域課題に向けた知事の思いを伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 本県の都市部には、多くの企業や商業施設、医療、高等教育機関などが集積している一方で、特に山間地域では、暮らしに必要な機能の維持が困難になりつつあり、こうした状況は、本県の抱える大きな課題であると認識しております。 このため、9月に策定しました長期ビジョンにおきましても、市町村や圏域が互いに連携して、必要な機能を補い合うことの重要性を掲げましたほか、現在建設中の国民スポーツ大会に向けた3つのスポーツ施設につきましても、分散整備を進めるなど、地域のバランスを考慮した施策の推進に努めているところであります。 また、地域課題の解決につながると期待されますデジタル技術等の進展が見込まれますことから、これらの技術を積極的に活用し、暮らしを維持できる仕組みや若い世代が活躍できる環境づくりを進めることも、重要なポイントであると考えております。 今後とも、県内各地域の実情に寄り添いながら、住民の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らせる、そして若者にも選んでもらえるような地域づくりを進めてまいります。 ◆(武田浩一議員) 先日、在京串間会総会に出席してまいりました。そこで串間市民病院院長が涙ながらに市民病院への支援を訴えられましたし、西諸地区からも医師確保に、特に産婦人科医と小児科医について切実な要望をいただきました。県内各地域の実情に寄り添いながら、住み慣れた地域で安心して暮らせる地域づくり、知事、よろしくお願いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症第8波が心配されておりますが、今後の県勢発展を考えるとき、2つの相反する課題、コロナウイルス対応と社会経済活動の両立について、知事の考えを伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 新型コロナについては、当初から、感染防止対策と社会経済活動のバランスをいかに図っていくか、そのように苦心をしながら取り組んできたところでありますが、発生当初は、爆発的な感染拡大時には、県民の皆様の命と健康を守ることを最優先としまして、苦渋の判断ではありましたが、例えば、飲食店等への営業時間短縮、さらには移動自粛などの強い行動制限などをお願いしてきたところであります。 その後、ワクチンの開発や接種の進展、ウイルスの変容や知見の蓄積も進んできましたことから、現在では、基本的な感染対策を継続しながらも、社会経済活動の回復へと政策の軸足を移してきているところであり、9月には宮崎再生基金も設置しまして、県民生活や事業活動の下支えに取り組んでいるところであります。 本県も既に第8波の入り口にあり、さらに今後、人の往来や交流の機会が増える年末年始を控えておりますことから、改めて、一人一人の感染対策の徹底や医療・検査体制の維持等に努めながら、コロナの中でも、できる限り社会経済活動を継続できるよう、全力で取り組んでまいります。 ◆(武田浩一議員) 次に、総合交通対策について。 県では、持続可能な地域交通ネットワーク構築に取り組んでいますが、私の住む串間市では、長く宮交の路線バスが走っていません。正確には、日南市から串間市市木幸島までの国道448号を通る1路線が走っています。 このように、県内の市町村で交通格差があるように、市町村の地域内でも、買物、通院等、生活する上で大きな格差が生じています。高齢で自動車免許を返納したいが、公共交通機関を含め交通手段がない。そのような交通弱者の方々に光を当てることが行政の務めであると思います。 地域住民の移動手段を確保するためには、単一の市町村で運営されているコミュニティーバスをつないだりしながら広域化を図るなど、JR、宮交バス、コミュニティーバス、タクシー、助け合いマイカー等、地域にある様々な交通資源の連携が有効であると考えますが、地域交通の現状と今後の取組について、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 地域住民の移動手段を確保していくためには、コミュニティーバス等の最適化・効率化を図り、その上で、広域的な交通機関である鉄道や地域間幹線バス等と結びつけることが重要であります。 このため県では、コミュニティーバスのデマンド化やタクシーの乗り合い化などに取り組む市町村を積極的に支援するとともに、来年度策定予定の地域公共交通計画には、地域間幹線バスと鉄道、それとコミュニティーバス等との乗り継ぎの円滑化を盛り込む予定としております。 また、御提案の市町村ごとのコミュニティーバス同士をつなげ広域化を図る取組などにつきましても、今後、市町村と研究をしてまいります。 ◆(武田浩一議員) これからますます高齢者が増えてまいります。知事からもありましたように、住み慣れた地域で安心して暮らせる地域づくりのためにも、地域の移動手段確保は待ったなしの状況です。よろしくお願いいたします。 次に、国際線再開について。 10月11日から新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和され、入国者数の上限が撤廃されるとともに、多くの外国人観光客が入国し始めています。来年3月からは、国際クルーズ船の寄港も再開される見通しとのことです。 本県では、日隈副知事を団長として、宮崎-台北線定期便再開の要望協議を目的に台湾を訪問され、チャイナエアラインに対して早期再開の要望を行われましたが、その感触と今後の国際線の予定について、日隈副知事に伺います。 ◎副知事(日隈俊郎君) 宮崎-台北線につきましては、令和2年2月より運休していることから、先般、中野議長や、星原議員を会長とされます日台友好議員連盟の皆様をはじめ、宮崎市などとともに、台湾のチャイナエアライン本社を訪問し、他県に先駆けまして、運航再開に向けての要望活動を行ったところであります。 同社からは、「東京線を除き、日本路線はまだ利用者が少なく、現時点で地方空港の再開は難しい」と、厳しいお話があった一方で、宮崎線については、「チャーター便を検討する」という提案をいただきましたので、まずはチャーター便の運航に向けまして、準備を進めてまいりたいと思います。 また、ソウル線につきましては、今月、2年8か月ぶりにチャーター便が運航されるとともに、来年の1月から2月にかけまして、アシアナ航空が週2便のプログラムチャーター便を計画しております。 本県にとりまして国際線は、海外との人や物の交流を促進する上で欠かすことのできない重要な交通基盤でありますので、引き続き、航空会社への要望はもとより、検疫などのCIQ官署や宮崎空港ビルなど、関係機関と一体となって受入れ体制を整えまして、定期便の早期再開に向けて積極的に取り組んでまいります。 ◆(武田浩一議員) 次に、10月4日に宮崎カーフェリー「ろっこう」が初就航しました。「たかちほ」と待望の新船2隻体制となり、本県の農畜産物等を関西へ、また関西から本県への観光誘客に期待が高まっています。 しかし、3年にも及ぶコロナ禍や世界の情勢不安等による燃油高騰等、厳しい経営環境ではないかと推察いたします。 そこで、宮崎カーフェリーの利用状況と利用拡大に向けた取組について、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 宮崎カーフェリーにつきましては、新船効果もありまして、特に旅客におきましては、10月の輸送実績が前年の約3倍となりました。 現在、会社におきましては、旅客のさらなる拡大に向けて、神楽の披露などの船内イベントや御当地メニューの提供など、船旅ならではの魅力創出に取り組んでおられます。 また、貨物につきましても、物流展や港湾セミナーの場などを生かしまして、県外の荷主や物流事業者に対する積極的な営業活動に加え、県トラック協会と連携した情報発信など、利用拡大の取組を強化しているところであります。 県におきましても、神戸市との連携協定に基づくPRイベントを開催するなど、様々な取組を行っているところでありまして、今後とも、航路の維持・拡充に努めてまいります。 ◆(武田浩一議員) 国際線の運航再開も宮崎カーフェリーの利用拡大も、コロナ禍と物価高で疲弊している本県の再生にとって大変重要であります。宮崎-台北線で、現段階において「チャーター便を検討する」というお話をいただいたことは、まずもって日隈副知事をはじめ、台湾を訪問された皆様に感謝申し上げます。宮崎再生に向け、さらなる努力をお願いいたします。 次に、東九州自動車道の整備状況について。 いよいよ今年度中に清武南-日南北郷間が開通予定であり、順調に進んでいると聞いております。先月は、串間市で初となる串間市奈留-志布志市夏井間の着工式が開催されました。我が串間市にもやっと高速道路建設のつち音が聞こえてまいります。道づくり女性の会をはじめ、南那珂地区住民は、悲願である東九州自動車道の全線開通が見えてきたと喜んでおります。 しかしながら一方で、南郷-奈留間が唯一の未事業化区間として残っております。6月定例会では、永山副知事に熱い答弁をいただきました。今回は、東九州自動車道の未事業化区間の早期事業化と全線開通に向けた、河野知事の熱い意気込みを伺います。
    ◎知事(河野俊嗣君) 東九州自動車道につきましては、先月、油津-南郷間と奈留-夏井間において着工式を開催するなど、着実に整備が進んでいるところであります。道づくりを考える女性の会の皆さんをはじめ、力強く後押しをいただきました地域の皆様に、心から敬意を表し、感謝を申し上げます。 今年度中には、いよいよ清武南-日南北郷間が開通予定でありまして、日南市から北九州市までが結ばれることにより、広域観光や地場産業の振興、南海トラフ地震などの災害時における人命救助や救援物資の輸送などに大きく寄与することが期待されます。串間市から宮崎市に来られるときも、一日がかりにはならないのではないかと考えております。 一方で、南郷-奈留間が唯一の未事業化区間として残されておりまして、事業中区間の事業促進はもとより、南郷-奈留間の早期事業化が大変重要であると考えております。 このため、あらゆる機会を捉えて、国に対して、本県における高速道路の必要性や重要性を強く訴えているところでありまして、10月には、東九州自動車道建設促進協議会の会長という立場で、東京で中央大会と提言活動を行いまして、全線開通に向けた地域の熱意を国へ届けてきたところであります。 引き続き、県議会の皆様をはじめ、沿線自治体や関係団体、地域の皆様と一体となって、私が先頭に立って、早期事業化に向けて全力で取り組んでまいります。 ◆(武田浩一議員) 知事就任後12年、東九州自動車道、九州中央自動車道、都城志布志道路と、県内の交通インフラ整備は着実に進んでまいりました。この流れを前へ前へとさらに進め、一日も早い南郷-奈留間の事業化と全線開通へ向け、沿線自治体や関係者、地域の皆様の先頭に立って全力で取り組んでいただくよう、お願いいたします。 次に、近年、巨大地震や気候変動に伴う集中豪雨等の大規模な自然災害が頻発化・激甚化しております。 本県でも9月の台風第14号に伴う記録的な豪雨により、県内各地で土砂災害や浸水被害が発生し、3名の貴い命を奪い、道路、鉄道、電力、水道、通信等のライフラインのほか、地域経済を支える商工・観光業、農林水産業等の広範囲な分野において甚大な被害を及ぼしたところであります。 串間市ではこれまで、市木・本城地域で毎年のように河川が氾濫し、家屋の浸水や多くの農地が浸水する被害に見舞われてまいりました。今回は、河川改修や河道掘削の実施効果もあり、県北のような甚大な災害はありませんでした。 このように、防災・減災、国土強靱化対策の効果は確実に上がっていると確信していますが、午前中、坂口議員からもありましたように、本県の現状を踏まえますと、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策後も、予算・財源を継続して確保していく必要があります。どのように考えているのか、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 国土強靱化につきましては、高速道路のミッシングリンク解消や流域治水対策、インフラ老朽化対策などを中心に、本県におきましても、様々な取組を進めております。 議員のお話にもありましたように、例えば、串間市の市木川では、平成24年の6月豪雨で13戸の浸水被害が発生したところでありますが、その後の河川改修に加え、強靱化予算を活用した河道掘削の結果、同等規模の降雨でも家屋の浸水被害は発生しておらず、一定の効果があったものと考えております。 しかしながら、今回の台風第14号は、県内各地に甚大な被害をもたらしたところであり、県民の安全・安心な暮らしを守るため、国土強靱化の取組は、5か年加速化対策後においても継続的・安定的に進めていくことが大変重要でありますので、今後とも、必要な予算の確保に努め、県土の強靱化にしっかりと取り組んでまいります。 ◆(武田浩一議員) 次に、国道448号について。 平成29年6月の豪雨で被災した箇所は、地域住民の命の道、生活道路として、また幸島・都井岬への観光誘客道路として、大変重要なインフラであります。 令和3年10月に藤磯平トンネルが開通し、大変喜ばれております。今回はそこから少し南郷側の市木、舳地区の道路であります。本年9月の台風第14号襲来後、道路中央に亀裂が入るなどの路面変状が確認され、大変心配されています。調査すると聞いておりますが、現状と今後の方針について、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 国道448号の舳地区につきましては、国の点検要領に基づき、今年度、海岸側の擁壁やのり面について点検を行ったところであり、その際、擁壁の一部に段差などの変状を確認しておりました。 今回、台風第14号通過後のパトロールにより、路面の亀裂が新たに確認されたことから、雨水の侵入を防ぐため、応急的に路面等の補修を行ったところであります。 現在、亀裂が発生した原因を特定するため、測量及びボーリングなどの詳細な調査に着手しており、その結果を踏まえ、対応について早急に検討してまいります。 ◆(武田浩一議員) 私も先日、国道448号を通ってきました。確かに応急的な路面の補修がされていましたが、今後の天候次第では不安が残ります。一日も早く詳細な調査を実施し、早急な対策をお願いします。 また、知事より坂口議員への力強い答弁もありましたが、防災・減災、国土強靱化対策の継続的・安定的な予算確保に努めていただきますよう、重ねて要望いたします。 次に、現在県では、宮崎県水道広域化推進プランの策定を進めていますが、プランの全体像と広域化の効果及びそれに伴う課題について、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 水道事業の経営環境は、人口減少に伴う収益性低下や、施設の老朽化等の更新需要の増大などに伴い、厳しさを増す状況にあります。 宮崎県水道広域化推進プランは、これらの状況に対応すべく、市町村単位での水道事業の広域化推進の必要性から、経営基盤の強化を目的に、県が策定するものであります。 当プランでは、市町村が単独で行う窓口業務や検針業務等の14項目について、県内を3圏域に分け、広域的に事務を行う場合の効果をシミュレーションし、その上で、広域化に伴う優先的に取り組むべき事項やスケジュールをお示ししております。 広域化の効果としましては、例えば、検針や警備業務等の一括委託による事務の効率化や費用削減が考えられます。 一方、課題として、広域化に伴う住民サービス低下への配慮が必要なことや、各市町村ごとに異なる水質検査や検針業務の仕様の統一等、一定の調整が必要なことが挙げられます。 ◆(武田浩一議員) 水道広域化プランの概要は理解しました。 先日、県北の方からも、水道料金が高いという意見を伺いました。人口減少に伴う収益性の低下や、施設の老朽化等の更新需要の増大等を考えると、経営基盤の強化を目的に、県が策定する必要性は理解できますが、今までもいろいろな広域化施策が、効率性や収益性等の下に進められてまいりました。 しかし、見方を変えますと、合理化だけに頼る広域化は、地方の弱体化、人口減少に拍車をかけてきた現実も否めませんし、地域経済に与える影響も心配です。 そこで、当プランを進めることによる各市町村の管工事組合等の事業者への影響について、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 当プランにおいて実施する広域化シミュレーションにつきましては、窓口業務や検針業務等、水道事業の運営に係る部分の広域化を目指して実施するものであり、水道管の布設等のハード整備に関する部分については、当プランの対象外としております。 このため、水道の管路工事につきましては、従来どおり各市町村単位で発注することから、工事に係る地元事業者への影響はないものと考えられます。 ◆(武田浩一議員) 次に、地域住民に与える影響について。 県内の山間部や農漁村等には様々な形態の飲料水供給施設があると認識しておりますが、県内の簡易水道及び飲料水供給施設の現状と、当プランにおける位置づけ及びそれらの施設に対する今後の県の対応について、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 県内の水道事業のうち、給水人口が101人以上5,000人以下であります簡易水道事業は、令和2年度末時点で、市町村営が59か所、地元住民が管理する民営が16か所となっております。 また、給水人口が100人以下となる井戸水や湧水等を利用した、いわゆる飲料水供給施設は、県が把握しているものが、令和2年度末時点で196か所となっております。 当プランでは、上水道のほか、市町村営の簡易水道を広域化シミュレーションの対象としておりまして、民営の簡易水道及び飲料水供給施設は対象としておりません。 対象としていない民営の簡易水道につきましては、今後も水道法に基づき、必要な指導を行い、また飲料水供給施設に対しては、適切な衛生管理が行えるよう、地域の実情を踏まえた助言・指導を続けていくことで、安全な水の確保に努めてまいります。 ◆(武田浩一議員) 住民生活にとって一番なくてはならない水であります。もちろん、効率性や収益性に留意すべきではありますが、その地域で暮らす住民生活や地域経済に与える影響に配慮しながら当プランを策定していただきますよう、要望いたします。 次に、我が国の食料自給率について。 20~30年前、世界の人口は50億人でした。先日、国連より世界人口が80億人に達したと発表されました。70億人達成から11年であります。国連によると、90億人に達するには今後15年、100億人を超えるのは2080年以降になると予想されているようであります。 今後、増加傾向はペースが落ちていくとはいえ、世界の人口増加は、限られた地球の資源の中、水資源と食料不足が危惧されております。 諸外国の食料自給率(カロリーベース)で見ると、2019年数値で、アメリカ121%、カナダ233%、ドイツ84%、スペイン82%、フランス131%、イタリア58%、オランダ61%、スウェーデン81%、イギリス70%、スイス50%、オーストラリア169%、韓国35%、日本38%であります。世界的な人口増加の現状、不安定な国際情勢から見ても、我が国の食料安全保障の現状は危機的状況であると言えます。 そのような中、我が国の食料自給率の向上に向け、県としてどのように貢献していくのか、河野知事に伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 海外に食料供給の多くを依存する我が国の食料自給率は、令和3年度のカロリーベースで、今、御指摘がありましたような38%と、諸外国と比べて低く、世界的な人口増加による食料需要の増大に加えて、ウクライナ情勢等の影響によりまして、食料安全保障への危機感が高まっていると認識しております。 このような中、農業を基幹産業とし、全国第6位の農業産出額を誇る本県は、生産力の維持・強化に取り組み、食料自給率の向上に寄与していく必要があります。 このため、農地の集約による大規模化や、スマート技術の活用等を通じた農業生産の強化に加え、飼料用米の生産拡大等による飼料の国産化や、堆肥の有効活用による化学肥料の削減など、海外資源に依存した農業からの転換を進めているところであります。 これらの取組をさらに進めて、食料供給基地としての本県の役割を果たすとともに、我が国の食料自給率の向上にもしっかりと貢献してまいります。 ◆(武田浩一議員) 日本の食料自給率は、1961年(昭和36年)の78%からほぼ毎年のように減り続け、2021年(令和3年)で38%と、危機的状況であります。 知事の言われるように、海外資源に依存した農業からの転換を進め、日本の食料基地としての本県の役割を果たしていただきますよう、お願いいたします。 次に、10月6日から10日に第12回全国和牛能力共進会が行われました。本県は史上初の4大会連続内閣総理大臣賞受賞、特に、和牛肉の新しい価値観として「おいしさ」に着目し、これまでの肉量・肉質の評価に加え、牛肉のおいしさに関連する「脂肪の質」を評価する肉牛の部・第7区において、優等賞首席内閣総理大臣賞を受賞し、「おいしさ日本一宮崎牛」の称号をいただきました。畜産農家をはじめ関係者の皆様の御努力と御尽力に、改めて敬意を表するものであります。 本県の農畜水産物は海外でも高い評価を受け、さらなる海外輸出が期待されておりますが、国内だけではなく海外においても、日本の農畜水産物ブランドの産地間競争の激化が予想されます。今後の本県農畜水産物の輸出の取組について、知事に伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 本県農畜水産物の魅力、またその潜在能力の高さということを考え、人口爆発を背景とした世界市場の拡大ということを踏まえますと、輸出はさらに伸ばす余地があり、そして進めていく必要があるものと考えております。 現在、この農畜水産物は10年連続で右肩上がりで輸出が伸びている。このコロナ禍にあっても伸びているところであります。 国も、オールジャパンの体制で日本産品を売り込んでおり、県も協調して取り組んでいるところであります。国・地域、品目によっては、他国や国内産地との競合も生じているところであります。 このようなことから、宮崎ならではの品目というものをしっかりとアピールし、輸出拡大につなげていくことが重要と考えております。例えば、先般の全共で4連覇を成し遂げた宮崎牛は、おいしさ日本一、言わば、おいしさ世界一なわけでありまして、海外でも通じる分かりやすいセールスポイントを前面に押し出した販売拡大に取り組んでまいります。 県としましては、引き続き、関係機関と連携しながら、宮崎牛をはじめ、スイートピーやキンカン、カンショ、ブリなど特徴ある品目の強みを生かした販売・PRの取組を支援し、海外での競争力アップと、さらなる輸出拡大に努めてまいります。 ◆(武田浩一議員) 食料安全保障、食料自給率向上、本県農家経営の安定の点からも、先ほどの知事の答弁にありましたように、飼料・肥料の国産化も必要と考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 国際情勢等が不安定な中、地域資源を活用した県産飼料・肥料の生産を進めることは、農業経営の安定化を図るためにも、また、我が国の食料自給率向上のためにも大変重要であります。 このため県では、海外肥料の代替として、県産の豚ぷん堆肥を原料とした低コスト肥料生産の支援に取り組んでいるところです。 また、収益性の高い飼料用米の導入や、耕畜連携による稲わらや堆肥の循環システムの整備、品目に応じた堆肥の製造への支援等を行っているところです。 今後とも、地域資源を持続可能な形で活用し、県産飼料・肥料の生産拡大に努めてまいります。 ◆(武田浩一議員) よろしくお願いしておきます。 農政最後の質問です。農家の皆さんをはじめ関係者の御尽力により、本年はサツマイモ基腐病の発生が抑えられているとの話をお聞きしますが、今年度導入された抵抗性を有する「べにまさり」のサツマイモ基腐病の発生状況、収量及び市場評価並びに来年度のサツマイモ基腐病対策について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 「べにまさり」につきましては、今年度、南那珂地域で普通掘りの約6割に導入され、サツマイモ基腐病の発生は主要品種の「宮崎紅」と比較しても少なく、被害はほぼ認められなかったところです。 収量は、掘り取り調査結果によりますと、「宮崎紅」と比較しても多く、また主な出荷先である関西地域の市場からは、甘くておいしいという高い評価を得ております。 来年度以降も引き続き、気を緩めることなく、「持ち込まない」「増やさない」「残さない」の3つの対策を徹底するとともに、「べにまさり」など抵抗性を有する品種の選定・導入等を進めながら、関係機関・団体と一体となって取り組んでまいります。 ◆(武田浩一議員) 本年度、「べにまさり」の導入により、ある程度の効果が認められました。収量、市場評価も高いということであり、一安心したところであります。しかし、串間市内の農家の皆さんとお話をすると、そう簡単にはいかないというところも感じております。 来年度以降も引き続き、3つの対策を徹底しながら、さらなる発生防止対策に取り組んでいただき、串間市の食用カンショ産地復活をお願いいたします。 次に、商工・観光政策について。 3年にも及ぶコロナ禍で疲弊しているところに、世界情勢の不安定化や円安等による原油価格高騰、物価高騰、県内の中小企業は先の見えない中、悪戦苦闘しています。 県はこの現状をどう考えているのか、県内中小企業の現状と対策について、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 今年9月の、県とみやぎん経済研究所によるアンケート調査では、7月から9月期の全般的業況DIが、全ての業種でマイナスであり、「物価上昇が業況に影響している」と回答した企業の割合が94.2%に達するなど、県内中小企業は、依然として厳しい経営環境に置かれているものと認識しております。 こうした状況を踏まえ、県では、販路開拓や新商品開発などへの支援を行うとともに、今年10月に創設した「みやざき再生支援特別貸付」では、事業者に対する定期的なモニタリングを通じて、中小企業支援ネットワークの構成機関によるプッシュ型の経営支援を実施することとしており、関係機関と連携し、事業者に寄り添いながら、経営改善に向けた取組を後押ししてまいります。 ◆(武田浩一議員) 知事、今、部長から「物価上昇が業況に影響していると回答した企業の割合が94.2%に達するなど、県内中小企業は、厳しい経営環境に置かれていると認識している」との答弁がありました。 現場からは悲痛な声が聞こえてまいります。いま一度、コロナ禍と物価高という、100年に一度と言われる社会情勢の中にある中小企業に対する河野知事の思いについて伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 中小企業は、本県の企業の99.9%を占め、地域経済の活性化や雇用の創出をはじめ、地域コミュニティーの担い手として地域づくりにも貢献するなど、本県経済や県民生活にとって極めて重要な役割を果たしています。 オンリーワンの商品や技術力を持ち、国内外で活躍されている事業者や、長年にわたって地域に根差した事業を営み、それぞれの地域にとって欠かせない存在となっておられる事業者も数多くおられ、日々重ねてこられた努力と本県への多大な貢献に対し、改めて敬意と感謝の思いを抱いているところであります。 現在、こうした中小企業を取り巻く経営環境は、長期化するコロナ禍に加え、ウクライナ情勢等を発端とした原油価格・物価高騰などの影響により、厳しさを増している状況であります。 私としましては、今年度創設しました宮崎再生基金等も活用しながら、中小企業の経営基盤の強化や生産性向上に向けた取組を支援するなど、一日も早い本県経済の再生に向けて、全力で取り組んでまいります。 ◆(武田浩一議員) 県内の中小企業の置かれている状況は、私たちが机上で考えているより、はるかに切迫しています。知事・部長の答弁にあったように、事業者の実情に寄り添いながら、中小企業の経営基盤の強化や生産性の向上に向けた支援をお願いいたします。 次に、スポーツランドみやざきを一層推進していくためには、日本や世界のトップアスリートによる大会・キャンプ誘致は大変有効であると考えますが、全ての人々がスポーツに触れ合える環境も大切であると考えます。 昨年からの大谷翔平選手の活躍や、先日の日本対ドイツ戦の勝利も、多くの日本国民に感動を与えました。スポーツの力はすごいと、改めて感じたところであります。 そこで、スポーツの裾野を広げ、本県のスポーツランドみやざきを一層推進していくためには、障がい者スポーツを受け入れる環境づくりも重要だと考えますが、県の取組状況を商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 県ではこれまで、障がいのある方の視点も踏まえて県有のスポーツ施設を整備するとともに、宿泊施設や公共交通機関におけるバリアフリー化の支援にも取り組んでおります。 具体的には、スポーツ施設にスロープや多目的トイレの設置を行うとともに、宿泊施設のトイレや浴室の改修、JR駅のエレベーターや点字ブロックの設置などに支援を行っております。 また今後、順次供用開始する屋外型トレーニングセンターや体育館、陸上競技場などについても、ユニバーサルデザインを取り入れた整備を進めております。 県としましては、今後とも、障がい者スポーツ協会などの関係団体から意見を伺うとともに、庁内関係部署とも連携を図りながら、障がい者スポーツの受入れ環境を整備し、スポーツランドみやざきを一層推進してまいります。 ◆(武田浩一議員) 次に、屋外型トレーニングセンターの管理運営における収支の課題について、県ではどのように対応していくのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 屋外型トレーニングセンターの管理運営に要する経費は、年間6,100万円と見込まれる一方で、施設の利用によって得られる料金収入は、年間820万円を予定していることから、差額の年間5,280万円が県の負担となる見込みであり、3年間で1億5,840万円の指定管理料を債務負担行為の追加として、本議会で御審議いただくこととしております。 県といたしましては、施設のPRやセールス活動を積極的に実施し、新たなスポーツ団体の誘致に取り組むことにより、利用料金の収入確保に努めるとともに、ネーミングライツ制度の導入や施設内の広告スペースの活用を図り、これらの収入を指定管理料の財源に充当し、可能な限り財政負担の軽減を図ってまいります。 ◆(武田浩一議員) さて、ただいまの部長答弁からも、収支については今後大変厳しい財政負担が考えられますが、知事をはじめ担当職員や関係者の御努力で、来春のWBC2023侍ジャパン合宿地に選定されました。 1年を通して温暖で快晴の日が多い恵まれた気候の「日本のひなた宮崎県」であります。本施設の開業は、施設の収支だけでは図れない経済効果を関係産業に与える大きな可能性を含んでいます。スポーツランドみやざきの将来を見据え、県は屋外型トレーニングセンターをどのように活用していくのか、河野知事に伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 屋外型トレーニングセンターにつきましては、将来のスポーツランドみやざきの鍵を握る重要な施設として、来年4月の供用開始に向け、現在整備を進めているところであります。 この施設は、現在カタールで開催されておりますサッカーワールドカップの会場と同様の人工芝など、高規格な仕様を備えているということでありまして、あの日本対ドイツ戦が行われたスタジアムと同じハイブリッド芝だということであります。国内外の代表やトップアスリートの受入れが可能でありまして、国際水準のスポーツの聖地として、さらなるブランド力の向上が図られるものと考えております。 また、本施設の整備に伴い、県内各地へのスポーツキャンプの一層の拡大が図られ、観光振興や経済の活性化にもつながるとともに、トップアスリートと県民との交流などを通じ、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会を見据えた県内アスリートの競技力向上にも寄与するものと考えております。 他県とのスポーツキャンプの誘致競争の激化に加え、国スポ・障スポの開催を控えた本県としましては、今後、この施設を広く県内外へPRし、積極的な活用を図ることで、スポーツランドみやざきをさらに推進してまいります。 ◆(武田浩一議員) 河野知事は就任以来、スポーツランドみやざきを推進してこられました。これまで県内の各市町村でも、プロ野球、Jリーグ等の国内キャンプや、トップアスリートをはじめ、大学、高校等のスポーツキャンプ・合宿地としての実績を伸ばしてきました。そこに、さらに障がい者スポーツ推進に力を注ぎ、県内のバリアフリー化を進め、本県のスポーツランドみやざきを国内外にPRしていただくことを要望します。 実は、今年に入りまして、マラソンの谷口浩美さん―私の南那珂、南郷の大先輩でありますが―と2回ほど話をする機会がありました。話をするたびに言われるのが、「どこでもスポーツはやっているよね。そこに障がい者スポーツが来て、地域がバリアフリー化していく。それを売りにするというのを、今後、市町村でやっていくのはどうだろうか」という御意見を伺ったところでありました。それで、今回はこういう質問をさせていただきました。ありがとうございます。 次に、教育政策について。 本年、国連が日本に対し、「特別支援教育の中止」を勧告いたしました。欧米では障がい児と健常児が共に学ぶインクルーシブ教育が浸透していると聞いていますが、本県の学習指導要領にも示されたインクルーシブ教育システムに対する本県の考えを、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 本県でも、インクルーシブ教育システムの構築が重要であると考えておりまして、障がいのある子供と障がいのない子供が共に学ぶ機会を積極的に設けております。 システムの構築には、そもそも合理的配慮の提供が求められておりまして、小・中・高等学校の学習指導要領での明記にもつながっております。 県教育委員会といたしましては、全ての教員を対象とした特別支援教育に関する研修の充実や、通級指導教室という、これは障がいのある児童生徒が通常の学級に在籍したままで指導が受けられる学びの場ですが、その充実を図るなど、今回の国連の勧告を踏まえ、インクルーシブ教育システムの構築をより一層推進してまいります。 ◆(武田浩一議員) 県教委が小・中・高等学校の学習指導要領の中で、障がいのある子供とない子供が共に学ぶ機会を積極的に設けていること、全教員を対象にした特別支援教育に関する研修等、インクルーシブ教育のシステム構築を推進していることは理解いたしました。 しかし、私は、そもそも国連のいうところのインクルーシブ教育と日本の文部科学省の考えるインクルーシブ教育の考え方に乖離があるのではないかと思います。それは国連が、「特別支援教育の中止」を勧告していることからも分かります。欧米の考えが全て正しいわけではありませんが、国連で、障害者権利条約に関する日本政府に対する初めての審査が開かれ、建設的対話に受審国の障がい当事者と関係者が100名以上集まり、その熱心さは会場で話題になったそうであります。 今後、国の動向なども見ながら、障がいという垣根を越え、共に学ぶ教育の推進に努めていただきますよう、要望いたします。 次に、本県の県立高校で全国からの出願を認める学校・学科について、現在指定されている学校の現状を、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 全国からの出願を認める学校・学科につきましては、飯野高校では、平成31年度入学者選抜検査から普通科と生活文化科において導入しておりまして、これまで18名の生徒が入学しております。 また、高鍋農業高校では、今年度から園芸科学科と畜産科学科において導入しておりまして、4名の生徒が入学しております。 入学者は、北海道から沖縄まで16都道府県から集まっており、生徒たちはそれぞれの夢に向けて取り組んでおります。 ◆(武田浩一議員) 次に、県立高校における今後の特色づくりについて、また、全国からの募集を全県的に広げる可能性について、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 学校の存在意義や期待される社会的役割、目指すべき学校像等を、令和3年度にスクールミッションとして改めて整理し、あわせて、それを県立高校の特色づくりの一つとして位置づけ、さらなる教育活動の充実を進めているところであります。 全国からの募集につきましても、そのような特色づくりの一つとなっておりまして、学校や地域の活性化につながるような取組によって、希望者も年々増えております。 今後、地域のニーズを踏まえ、現在指定を受けている学校の成果とともに、課題についても検証を進め、指定校を増やす可能性について研究してまいります。 ◆(武田浩一議員) 今後の県立高校の全国募集に関しては、地域ニーズや課題等もあると思いますが、地域に残る唯一の県立高校は、条件不利地域にとって、なくてはならない学校であります。検証を早急に進め、指定校を増やしていただくよう、要望いたします。 次に、先日、串間市の住民の方から、県立高校内の草がぼうぼうで見苦しいとの御意見をいただきました。私たちの頃は、PTAや生徒たちで草刈り等の環境整備をしていたような記憶もありますが、現在の県立高校における草刈り等の環境整備及びその予算措置の状況について、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 県立高校における草刈り等の環境整備につきましては、各学校でシルバー人材センターと年間契約を結び、計画的に実施しております。樹木剪定や伐採等の作業も、必要に応じて専門業者に委託して実施しております。また、議員の御質問にもありましたとおり、今でも一部の学校におきましては、PTA等による環境美化の活動を定期的に行っていただいているところであります。 次に、県からの予算措置につきましては、各学校に対し、年2回調査を行い、必要額を配分しているほか、緊急性のあるものには、随時、配分を行っております。 今後も、地域の学校として適切な維持・管理がなされるよう、予算確保に努めてまいります。 ◆(武田浩一議員) 最後の質問になります。 10月に特別委員会、常任委員会の県外調査に久しぶりに行ってまいりました。そこで先進的な取組をされている企業等を調査させていただき、勉強してまいりましたが、一つ気づいたことがあります。どの企業もトイレがきれいであるということです。また、バックヤード等、お客様に通常見えないところもきれいだということであります。 先日、数名の保護者と関係者から、県立高校のトイレが臭い、汚いとの御意見をいただきました。そこで、県立高校におけるトイレの改修状況について、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 県立高校のトイレの改修につきましては、新型コロナ感染症等の予防や老朽化解消に向けまして、令和2年度から、便器洋式化や自動水栓化を重点的に進めております。 トイレの洋式化率につきましては、令和元年度末の25.2%から、今年度末までには63.0%に達する見込みであります。トイレの壁等の室内整備につきましては、十分ではない状況もありますので、トイレの洋式化をさらに進めながら、今後も学校の要望等を踏まえ、整備に努めてまいります。 ◆(武田浩一議員) ありがとうございます。 学校に行って、トイレに行きたくないという女子高校生の声を、お母さんとか関係者の皆様からいただきました。かわいそうですよね。 あるところで学校説明会に行って、「トイレが汚くて受験をやめた」との、真偽はともあれ、笑えない話も聞こえてまいります。 我々の未来を担う生徒たちのことを考えますと、まずは、環境整備も含め、教育施設のトイレ等の改修を計画的に進めるとともに、予算拡充にも努めていただきますよう、要望いたします。 故稲盛和夫先生の言葉であります。「86年間歩んでこられて、人生で一番大事なものは何だと思われますか」との質問に、概要ではありますが、こう答えられたそうであります。 「一つは、どんな環境にいても、真面目に一生懸命生きること。自分が自分を一つだけ褒めるとすれば、どんな逆境にあろうと不平不満を言わず、慢心せず、今、目の前に与えられた仕事に、どんなささいな仕事でも、全身全霊で打ち込み努力したこと。もう一つは、利他の心。皆を幸せにしてあげたいと強く意識し、生きていくこと」と答えられたそうであります。私もそんな生き方を目標にしてまいりたいと思っております。 最後に、12月25日に県知事選を控える河野知事に、県政のトップは、真面目に愚直に確実に、県民福祉の向上に真摯に取り組んでいただき、そこに少しのユーモアと未来への希望を与えていただくよう、エールを送り、私の一般質問の全てを終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(中野一則) 以上で本日の質問は終わりました。 明日の本会議は、午前10時から、一般質問、人事案件の採決及び議案・請願の委員会付託であります。 本日はこれで散会いたします。   午後1時59分散会...